イッセイミヤケの映像は、水の中に潜っていくような感覚がある。水の揺らぎ、うねり、輝き。それらを随所にちりばめた透明感のあるコレクションに仕上がった。映像はモデルが明るい空間をはしごで降りていくところから始まった。空間に描かれた水面のように揺らぐアニメーションが、水中のイメージを演出する。背中をぱっくりと開けたボディースーツに、布がゆらゆらと揺れるワイドパンツやエアリードレス。京都の引き染めによるにじんだ柄が、流動的なフォルムを一層軽やかに見せる。円状のプリーツのパーツをつないだドレスや、丸いプリント柄は波紋のイメージ。アシンメトリーのニットドレスは、有機的な丸みが独特でありながらシンプルで現代的だ。シグネチャーの「一枚の布」を曲線のニット地で表現した。パリでは映像と実物を見せるプレゼンテーションを行った。テーマは「ア・ボヤージュ・イン・ディセント」。
アンリアレイジが配信したのは、二次元のアニメーションと三次元のリアルなコレクションを行き来する映像作品。コレクションの動画配信が始まって3シーズン目。多くのデザイナーが映像の作り方を模索するなか、デジタルでしかできない面白さやアンリアレイジならではの映像を追求した。細田守監督最新作「竜とそばかすの姫」のアニメーションから始まり、劇中に存在する仮想空間でショーが始まるというストーリー。CGアバターモデルは宙に浮くガラスのランウェーを歩き出すとほどなくしてその映像を背景に、実在のモデルが歩く空間に次元が切り替わる。新作は、デジタル画像と同じ三角形のパーツをはぎ合わせたグラフィカルなドレスが揃った。丸いパフスリーブも幾何学的。平面のパーツで立体を作るという発想は、映像のコンセプトにつながる。最後に服は光を放ち、デジタルの世界に三角のパーツが散りばめられた。テーマは「ディメンション」。デジタルルックはブランド初のNFTコレクションとして販売する。
(青木規子)