Forever Woman! 2/2(宇佐美浩子)

2016/03/17 11:02 更新


「ファッションと同じくらい食べることが好きな人」というコピーが気に入っている「SALON adam et ropé」。思わず挙手したくなってしまうのは私を含めた女性、に限らず男性だって多いはず!(笑)

またそのフレーズは、いかようにでも変幻自在。 だから… 「ファッションと同じくらいシネマを観ることが好きな人」 だってたくさんいる。

そこで今月は、さまざまな人生の季節の移ろいの中で、その人なりのスタイルを持ち、キラリと輝きつづけるスクリーンの中の女性たち「Forever Woman!」をテーマに設定。 後半は、母と娘にフォーカスを当ててみたいと思います。

まずは個性あふれる作風と独特のユーモアのセンスが人気のイタリアの名監督ナンニ・モレッティの新作『母よ、』からスタート。 

 

 

 

比較的自作自演の多い監督らしく、本作では準主役級のヒロインの兄役で出演。ところが、前作編集中に母を失った氏の自伝的内容なのだと知り、あえて主役を演じないところに、特別な思いを感じた次第。

ストーリーは、映画監督の娘と余命わずかと診断された元教師の母、そして両親の離婚も影響してか(?)ぎこちない母娘関係にある孫娘。3世代の母と娘の人間模様が、時に切なく、そして時に観る者の胸をじんわりと熱くする。

とりわけ仕事と家族の狭間で悩み苦しむヒロインを好演する、現代イタリア映画界きっての女優マルゲリータ・ブイ。ミラノでも、フィレンツェでもない、ローマ女性らしいたたずまいに、どことなく東京生まれの私は親近感を抱いたりして…。

 

 
母よ、』   3月12日より、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほかにて公開中
© Sacher Film . Fandango . Le Pacte . ARTE France Cinéma 2015

  

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 ローマ女性というキーワードに着想を得て、次にシェアしたい母娘シネマはこちら。 『あやしい彼女』。

 

 

 

彼女こそ「Forever Woman!」そのものと称したい、永遠の女性たちの憧れと言っても過言ではない女優、オードリー・ヘップバーン。数ある出演作の中でも、やっぱり『ローマの休日』が群を抜いているのは、誰もが知るところ。あのヘアスタイルとファッション、そのいずれも永遠の輝きを放っているのだから…。

 

 

 

そんなファッションで登場するヒロイン、大鳥節子(多部未華子)が60年代の名曲と、当時のモード感あふれる着こなしで人々を魅了する本作。そこにはいくつかの秘密とほのかな恋心がミルフィーユのように折り重なり、笑いと感動の「シネマの休日」(?)へと誘ってくれる。

一方、キャリアウーマン、幸恵(小林聡美)の73歳になる母カツ(倍賞美津子)の失踪後、初めて知ることとなる母の過去。 次々とドッキリなウェーブが押し寄せ、最後まで何が起こるか??? それはもちろん秘密ということで。

 

 

 

昨今、多岐にわたり活躍中の音楽プロデューサー小林武史アレンジによる「悲しくてやりきれない」「真赤な太陽」などを歌い上げる、そのレベルの高さにもビックリすると同時に、本作のために用意したというポップなファッションが良く似合う多部未華子。

また母自慢の娘を演じる小林聡美は、“知的でフェミニン、自信にあふれ、人生を楽しむ女性を讃えた普遍的なエレガンス” で知られる「ANTEPRIMA」をはじめ、元ファッション誌の編集長という役どころとマッチするスタイリングで登場。

対照的な二人のwomanたちのファッションもまた物語にスパイス的味わいを添えている。

あやしい彼女』  4月1日エイプリルフール全国ロードショー ©2016「あやカノ」製作委員会 ©2014 CJ E&M CORPORATION

「Forever Woman!」母娘篇。締めくくりは、フランスならではのエスプリが香る、4人の娘と母ゴコロがキュンと来るフレンチシネマ『最高の花婿』。

 

 

 

「異人種間結婚の世界1はフランス」そんな統計結果に、本作の着想を得たという監督フィリプ・ドゥ・ショーヴロン。資料によれば、インターナショナルな顔ぶれの家族構成は自身を含めた身近で、決して珍しい話ではないそうだ。

さてその物語だが― 4人の娘たちが次々とアラブ人、ユダヤ人、中国人と結婚し、異なる文化への気遣いにやや疲れ気味の敬虔なカトリック教徒の両親。そんな折、末娘から婚約の報告が。それも両親と同じく「教会での挙式」の夢が叶うという。そんな理想の花婿とは?

 

 

 

フランスが誇るコメディのキングことクリスチャン・クラヴィエとクイーンのシャンタル・ロビーが両親役を好演。 「4人の娘たちには、ほんとに愛情を注いだわ…」と語る母役のシャンタルさん。 それぞれに美しいウェディング・ドレス姿を披露してくれ、ちょっとしたフランス式ウエディングドレス・ショーを楽しめるかも。

  

 
 『最高の花婿』  3月19日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開 
© 2013 LES FILMS DU 24 – TF1 DROITS AUDIOVISUELS – TF1 FILMS PRODUCTION 

 

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 さまざまな母娘たちの喜怒哀楽をシェアしたシネマ観賞の後は、モードな母娘の香りが美味なティーブレイクをホテルで!

 

 

 

 「ひとつ上を目指す女性達へ贈る、五感に響く洗練されたひととき」 というリードに思わず「『Forever Woman!』にぴったり…」と、早速リサーチを開始したコラボ企画「ANNICK GOUTAL×ホテル椿山荘東京」。

都心にありながら、四季折々の自然の豊かさや日本文化を満喫できる庭園が象徴的なホテル椿山荘東京。 「世界をもてなす、日本がある。」 というコピーがそっくりそのまま目の前に広がっているのだから毎度、感動することしきりなのです。

一方、当コラボのベストパートナーとなるハイパフューマリーハウス「ANNICK GOUTAL(アニック グタール)」もまた創業者アニックのこだわりである 「上質な原料だけを使い、常に品格のあるひとつ上の洗練されたフレグランスを追求し、さまざまな感情をフレグランスに昇華」 。

その類い稀な才能と技の継承が秀逸! というわけで、日仏の豊かな感性と文化のマリアージュにより実現した当コラボ企画では、創業者が、娘のために創作したという香水「プチシェリー」をモチーフに、ホテルのパティシエが見た目だけでなくラストノート(食べた後の余韻)まで配慮し作り上げたアフタヌーンティーや夜限定のイブニングキュートティー(1日20食限定)は、母娘の絆を深めてくれそう。 折しも「母の日」がちょうどコラボ期間中(4月11日~6月30日)ですし。


 

 



うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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