90年代後半から00年代にかけて、本紙にストリートスナップの記事をたびたび掲載していました。30年近く前の、都会の一瞬を切り取っただけの記事ではありますが、その背景を店や企業に取材し、ときには売り上げなどの数字も入れていて、当時の商売の動きも少しわかります。“平成リバイバル”など様々なレトロが注目を集めている昨今、改めて読み返すことで、ビジネスに通じるヒントが見えてくるかもしれません。ベテラン記者が振り返ります。
※本文は読みやすく直しています。社名やブランド名などは原文のまま掲載します。
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うっヒョウ~、かわいらしくセクシーで、サーフ系押さえて秋緒戦をリード
1998年8月27日付
サーファー系の人気ブランド「ロキシー」の大ヒットでTシャツばかりが目立っていたストリートに、セクシースタイルが戻ってきた。目立つのはヒョウ柄。ロング丈のキャミソールドレスや深いスリットスカートなどだけでなく、Gジャンやリュック、サンダルまで、いろいろなものにヒョウ柄が広がっている。
ヒョウ柄はセクシー系カジュアルの定番だ。昨年ヒットしたのはチェックとバラ。ヒョウ柄は1年お休みだった。だから新鮮。春夏にヒットしたブルーデニムとの相性もいいし、セクシーにもかわいくも見せられる。というわけで、ヒョウ柄が大ヒットの兆しだ。
東京・渋谷や新宿では、オールヒョウ柄のワンピースやキャミソール、タイトスカートが日に日に増えている。「(ヒョウ柄の)帽子とリュックとサンダルを買いました。ワンピースも欲しい」という高校生。ブルー基調のセクシーなドレスを着た女の子は、「スリットが気に入ったんです」。ストラップやトリミングなど、ちょっとだけヒョウ柄を使ったキャミソールや小物なども入れれば、ストリートは今やヒョウ柄だらけ。
高校生向け雑誌の秋のファッション企画でも「セクシー」や「大人」がキーワードで、ヒョウ柄やヘビ柄をあおっている。7月後半からヒョウ柄が売れていた「セシルマクビー」(デリカ)は、「夏のカジュアルに飽きて、もっと背伸びしたいと思っている子が多い。(セクシー系の)従来のゾーンに戻ってきた」という。
靴の「エスペランサ」(神戸レザークロス)は、ヒールとストームにヒョウ柄を巻いたブーツが売れ始めている。
渋谷109のショップ「ヴァンス」の売り場はヒョウ柄一色。冬まで「ヒョウ柄で行く」と強気だ。薄起毛のロングスカートやシャツは、入荷後一週間で売り切れた。
《記者メモ》
文頭にあるように、この少し前の6月は「渋谷がTシャツの街に」でした。変化がとても速く、作って売る方の対応スピードも速かったのです。自分の書いた記事の内容を「失速」「終わり」などと否定する記事もたくさん書いていました。
(赤間りか)