【パリ=小笠原拓郎】19年春夏オートクチュールコレクションには、それぞれのメゾンの持つクラフトマンシップや歴史を背景にした新作が広がった。ラメツイードに刺繍を重ねた匠(たくみ)の技術のテキスタイル、華やかな色と生々しい生き物の装飾などから出発して、今のスタイルにフォーカスする。
シャネルはパリの歴史的建造物グランパレに18世紀のイメージのヴィラを作った。柔らかな日差しを感じさせる庭園に、レトロなムードのエレガンスが広がる。シャネルのアイコンともいえるラメツイードやスパンコールツイードなど、ハンドクラフトの技術を生かした装飾の素材をシックなラインに仕上げる。春夏の特徴は、襟元やヘムを折り返して作る立体的なディテール。ドレスの襟元を折り返してボレロを重ねたようなディテールにしたり、ヘムを大きく折り返して2枚重ねたように見せたり。ジャケットは襟元を折り返して、デコルテを強調したデザインになっている。
デザインのもう一つの特徴は、ドレスのサイドにプリーツやラッフルの布を寄せてアシンメトリーな量感を作るもの。ブラックドレスやレースのドレスのサイドにプリーツを寄せてアクセントにする。フィナーレはビジューのボディースーツにヘッドピースがトレーンを引くマリエのスタイル。いつもならマリエを着たモデルと登場するカール・ラガーフェルドは、今回は登場せず。体調不良のため、クリエイティブスタジオディレクターであるヴィルジニー・ヴィアールが代役を務めた。



(写真=catwalking.com、大原広和)