背徳グルメ人気の背景 高カロリー食材の美しき一体感

2026/01/06 12:30 更新


「コーヒーアンドトースト」の「〝ぽっかぽか〟えびと帆立のグラタンぱん!」(税込み2980円)

 健康志向の昨今だが、逆発想ともいえる高カロリー高脂質の背徳感のある「背徳グルメ」が人気だ。マリトッツォが大流行したとき、筆者は「ギルティフード」と命名した。マイナス要因が一目瞭然にわかる形状にもかかわらず、なぜ大人気だったのか。当時はコロナ禍の心理的な影響があるのだろうと推測した。

食品メーカーも注目

 東京・三軒茶屋にある「COFFEE AND TOAST」(コーヒーアンドトースト)は、背徳料理の専門店といっていいだろう。店内の壁に背徳メニューのイラストが貼られており、右も左も背徳グルメ。5センチ以上の厚切りトーストや、あふれるホイップクリームなどのカフェメニューだが、盛りつけはきれいで女性が好むビジュアルになっている。東京・原宿にある「チャームサイドサンドイッチ」も分厚い卵やトンカツサンドなど、背徳グルメがウリ。パンがやけに薄く見える。「シカゴピザ&スフレオムレツ Meat&Cheese ARK2nd 新宿店」では、皿からはみ出るチーズが乗ったオムレツや、チーズがあふれて生地を覆い隠すシカゴピザなど、チーズメニューが人気。中でも「ボルケーノシリーズ」は、まるでチーズのお風呂につかったようなパスタなど背徳感が強い。

 食品メーカーでも背徳メニューを訴求すると商品が売れるという。外食では機会がないが、家庭では食べてみたいという人も多いのだろう。

惹かれる人、引く人

 「背徳」という言葉は不思議だ。〝惹(ひ)かれる〟人もいれば、〝引く(ドン引きの意)〟人もいる。ストレス発散に食べる人もいれば、映え重視に食べる人など認識も様々だ。

 背徳グルメとデカ盛りグルメの違いには、確立された定義は存在しない。極端な大盛り料理がデカ盛りとすれば、背徳グルメは美しさや映えも求められる。また、量だけではなく、高カロリー・高脂肪も背徳の条件。高カロリーな食材同士が一つの料理の中で一体感を出すことが重要だ。そのため女性にウケる。

 さらに背徳グルメは「今日は自分ごほうびのチートデーだから」といった「言い訳」が成り立つ。高カロリーだけれどおいしい料理を食べて元気を出す、という心理の中で、人々はストレスを発散させていく。そのため、食べ終わった後に幸福感をもたらしてくれるので人気になる。

 人間が食に求める要素は時代を映し、環境を映す。何らかの要因があって人間は「その料理」を求め、背徳グルメの人気は一つのストレス社会を映し、さらには物価高の人々の日常の発散手段の〝予算〟も映し出しているのだろう。

(日本食糧新聞社/トータルフード・小倉朋子)



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事