タンナーのスズキ 「ゴードン&ブロス」卸売り本格化

2017/04/17 06:21 更新


 革のなめし・染色加工のスズキ(東京)は、総輸入代理店の契約を結ぶドイツの紳士靴「ゴードン&ブロス」の卸売りを、17年秋冬から本格化する。手頃な価格帯で履き心地と作りの良さが支持され、欧州で広く販売されている革靴を、より多くの消費者に認知してもらい、紳士靴市場の活性化を図っていく。

 ゴードン&ブロスは、インドのタンナーで紳士靴の製造まで行う大手企業、ファリダの自社ブランド。工場はラグジュアリーブランドのOEM(相手先ブランドによる生産)を主力としており、長く培った技術を生かし、98年にドイツ・デュッセルドルフを拠点にスタートした。生産はインドだが、ドイツのスタッフに企画からマーケティング、営業まで一任し、欧州市場での販売に力を入れてきた。

 年間10万足近くを生産する工場は、英国の伝統製法を受け継ぎ、量産も行っているが、グッドイヤーウェルテッド製法やハンドソーン製法など難易度の高い革靴も作ることができる。これらを富裕層の限られたマーケットの高級品にするのではなく、「一般の消費者が買いやすい価格帯で販売し、普段使いに利用してもらう」のがゴードン&ブロスの役目だ。

  直営店は持たず、卸売りのみで、ドイツでの平均的な小売価格は220ユーロ程度。ほかにベルギー、フランス、英国、スウェーデン、オーストリアなどで販売されている。

 スズキは、現会長が30年ほど前、ファリダの創業者に依頼されてタンナーの技術指導に赴いていた経緯がある。現在は、孫が経営者となっているが、ゴードン&ブロスでアジア市場への進出を検討する中、信頼ある企業に販売を任せたいと2年前にコンタクトがあったという。「日本市場で成功することでアジア市場に波及効果を上げていく」狙いもある。

 トラッドからスポーティーまで様々なデザインを揃えているが、日本での販売に際してスズキはタンナーの強みを生かし、「日本向けに質の高い素材を厳選し、マーケットに合った仕上げ加工を施した」製品を企画する。一部マッケイ製法の靴も扱うが、当面は、グッドイヤーウェルテッド製法を主力として、プレーンチップやウイングチップのレースアップからダブルモンクレットなどクラシックモデルの販売に力を入れる。

 イタリア製の革を使っており、2万2000~2万5000円。卸売りは「物の良さをきちんと伝えられる接客を伴った小売店との取り組み」を大事にしており、地方の専門店を通じて徐々に広めていく考え。日本向けの専用サイトも開設しており、今夏までには自社ECを始める予定だ。


欧州では普段使いとして幅広い層に支持されている



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