【ゲームチェンジャーU35】③エシカルファッションジャパン代表兼スタイリスト 竹村伊央さん

2017/05/05 06:50 更新


「エシカルがきちんと広がり、EFJが必要なくなることが目標」と話す竹村さん

エシカルをモードにしたい

 ファッションを学ぶために留学した英国でエシカル(倫理的な)ファッションに出会った竹村伊央さん(34歳)。環境や社会に配慮したファッションというとナチュラルテイストのものを思い浮かべがちだが、「エシカルファッションにはモードもあれば、可愛いものもある。エシカルファッションの多様な魅力を伝えたい」と12年、国内外の情報を発信するためにエシカルファッションジャパン(EFJ)を立ち上げた。


やりたいことは全部

 高校時代から服飾を学んでいた。留学先の英国で友人から、「服が作れるのなら」と紹介されたバイト先が「ジャンキースタイリング」というリメイクのブランドだった。ブランドの仲間にはフェアトレードやアップサイクルというコンセプトで服やアクセサリーを作る人がいた。元々、人と違うこと、人と違うファッションが好きだった。「意味のある、かっこいいことをしている人がいる」と興味を引かれた。

 10年に帰国した日本はまだ、「『エシカルって何?』という時代」。エシカルに関する国内外のニュースやブランドをまとめて紹介する人やサイトもなかった。

 12年3月にEFJを立ち上げた。エシカルに関連するブランドや素材、展示会など国内外のニュースをサイトを通じて発信した。「エシカルの多様性を知らないのは、もったいないと思ったから」と、特に目標は定めずにスタートを切ったが、プレスリリースを流すとラジオ番組から出演のオファーがあるなど、最初から反応は良かった。

 EFJは現在、情報発信だけでなく、ブランドのPRやエシカルを伝える場の提供、小売りにも事業を広げている。2月の合同展ルームスの「エシカルエリア」では、アートをからめながらエシカルを伝える企画展示をプロデュースした。「一つの場所にとどまっているのは苦手。やりたいことは全部やりたい」と、活動の範囲を広げている。

国内外のエシカルファッションの情報を12年から発信し続けている


食、コスメの次は服

 今、力を入れたいと考えているのは小売りだ。情報発信すると決まって出てくるのが「どこで買えるのか」という質問。これまでも期間限定で百貨店や商業施設にエシカルブランドを集積した店を出してきたが、ゆくゆくは常設で、ブランドを入れ替えながら来る人が面白がってくれるような店を作りたいと考えている。

 EFJを始めるときは、エシカルファッションが知られるようになるまで10年はかかると思っていた。「今は30%地点くらい」と思っているが、「食やコスメまでは来ている。その次は服」。肌に触れるものという意味でも、自分を表現するツールとしても重要な服が今後注目されると感じている。

 この間、エシカルファッションの普及に努める個人や企業は増えている。その中で、竹村代表の強みはスタイリストであるということ。発信する力がついてきた今だからこそ、EFJ代表とスタイリストという二つの肩書きを、もっと交わらせていきたいと考えている。「最終的なゴールは、ファッション全部がエシカルになること。エシカルがきちんと伝わり、EFJが必要なくなることが目標」という。


 82年名古屋生まれ。高校で服飾を学び、卒業後02年に渡英。アート系の大学、大学院で学ぶ。英「ジャンキースタイリング」勤務、10年に帰国。12年3月にエシカルファッションジャパンを立ち上げ。



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