《私たちが考えるファッションの未来》慶応ファッションクリエイター代表 源川まり子さん ショーを通じて社会に発信

2021/02/03 06:25 更新


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 コロナ禍で打撃を受けたファッション産業だが、大学生主体のファッション系サークルは健在だ。制約が多い中でも新たな活動に挑戦したり、オンラインや無観客でショーを開催したりと工夫を続けている。存在感を発揮する三つの団体の代表に、コロナ下での活動やファッションへの思い、未来について聞いた。

(河邑陽子)

 慶応ファッションクリエイターは、ショーの企画・運営を柱に、ファッションの表現活動を行う学生服飾団体だ。02年に慶大生主体に設立した。12年ごろに〝インカレ〟化し、現在は早慶、上智ほか都内の総合大学や日本女子大、文化服装学院などから集まった約100人が加盟する。20年度代表は慶応大学法学部3年の源川まり子さんだ。

オンラインで新歓

 ――活動の理念は。

 企業と違い学生服飾団体らしく、既成概念にとらわれずにファッションの価値を探り、クリエイションを通じて主にランウェーで提案しています。毎年12月に開くショーに向けてデザイナー、プレスなど仕事別に4グループに分かれ、グループを軸に横断的に活動しています。

 デザイナー職は毎週土曜日にエスモードジャポンで授業を受け、デザイン画からパターン、縫製まで服作りに必要な知識と技術を身に着けて作品制作を担当します。ディレクターは音響や照明、演出、招待状作りなどショーのコンセプトを言語化する役割。広報と企業への営業を行うプレスほか、モデルのスカウトと管理の仕事もあります。

 ――20年度の工夫は。

 コロナの影響で服飾サークルの合同説明会が中止になり、新歓活動は独自にインスタライブで行いました。活動紹介と部員紹介を各2回配信し、部員の個性の豊かさを伝えられたせいか約90人の新入生が入り、全体で3ケタの規模を維持できました。月に3回の全体会やグループ別の会議も4~9月は原則オンラインで開き、その後も対面は20人を上限にZoomを併用し、感染対策を工夫しています。

 ――新たな取り組みは。

 ショー会場の候補だった九段ハウスの慈善イベントに参加し、寄付で集まった古着のアップサイクルの実演を行いました。過去の作品や写真も展示して活動を紹介し、1週間で400人以上が来場。持続可能性について考える機会になり、交代で接客して部署を超えて交流も深められ、良い経験になりました。

100通りの思い大切に

 ――ショーの苦労は。

 若い世代として社会に伝えたいテーマを昨年1月から4カ月かけて練り上げ、「辿(たど)る」を選びました。過去の経験や記憶をたどり、その瞬間の〝生きている〟感覚を実感することで、未来に進む力を得られます。先行きの見えない今、ショーを通じて前向きな気持ちになってほしくて実施を決め、テーマに合わせて東京・上野の国立科学博物館を会場に、初めて無観客で開催。インスタライブで配信しました。

「辿る」をテーマに夜の博物館でショーを開催した

 感染対策を徹底し、会場に入る部員は40人に絞り、12月20日の本番に向けて12月は全部員に毎日の検温と報告を義務付けました。1週間以内に咳や熱が出た人は参加を見送り、会場ではモデルも密を避けて待機し、30分ごとに専任が消毒して回って大変でしたが、悔いのない思い出に残るショーになりました。

無観客で感染対策を徹底して行った

 ――この団体の意義は。

 ショーのテーマ決めでは、各自が服との向き合い方を確認した上で、社会に発信したいことを議論します。部員の100通りの思いを大切にし、互いに影響を受けながら作り上げるショーは、想像を超えたものになり感動します。大好きなファッションを通じ、自分や他人と向き合い、協力して作り上げる経験から得るものは大きく、進路選びの手がかりになると思います。

 ――今のファッションについて。

 持続可能性は全産業の合言葉になっていますが、アパレル業界では言葉だけ独り歩きしているように感じます。「究極のサステイナブル(持続可能)は作らないこと。デザイナーをしていると、サステイナブル重視の世の中との折り合いの付け方が分からなくなる時がある」と語った部員がいます。でも服は生きる上での必需品。服に関わる人々の生活も、新たな創造性も、地球環境も守りながら、より良い生産や雇用形態、消費のあり方を考える作業が必要です。大量生産・大量消費は消費者の意識も改革しないと解決しません。作る側のアパレルが、買って着る側にも責任があると発信し続けることも必要なのではと思っています。

源川まり子慶応ファッションクリエイター代表

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