篠原テキスタイルは、製品製造・卸の丸菱と共同で、「ばらのまち」と呼ばれる地元福山にちなんだ薔薇(ばら)染めの生地や衣料を開発した。「福山ブランド」の認定審査をクリアする見込みで、これから具体的な商品・販売戦略を固め、東京での展示会などで打ち出す。
原料は、新内外綿の薔薇染めの素材を活用している。これを篠原テキスタイルが生地に仕上げ、丸菱が製品化する工程だ。衣料のほか、丸菱が力を入れている北欧の雑貨ブランドなどでも商品化する予定。
福山市は56年、戦後復興のため、地域住民が薔薇を植え始めたのを機に、薔薇の展示会や花壇整備などを進めてきた。
また、昨年10月から、地域ブランドとしての認定・登録事業を開始している。篠原テキスタイルが窓口になり、福山を象徴する商品として、薔薇染めの商品を福山ブランドに申請していたが、このほど登録が内定した。
篠原テキスタイルは、セルロース「テンセル」やデニムを生産する中堅織物企業で、保有設備はエアジェット24台、レピア2台、シャトル8台。クラボウの生産チームの一翼を担い、最近導入したシャトルは、この生産機能の強化のために瑞穂テキスタイル(現在は廃業)から譲り受けた。
近年は自販の素材開発にも力を入れており、ウールのデニム調や綿・ポリエステル複合の絣調など、様々な新素材も開発、今回の薔薇染めも、その一環。
全般の生産状況については例年、春から夏にかけて比較的生産が落ち着く時期になっているが、昨年秋から現在に至るまで、フル生産が続く。国産への見直しやジーンズの見直し機運も追い風となっている。