テキスタイルに携わる5人が「5☆」結成 個性を掛け合わせた実験集団

2026/10/28 11:00 更新NEW!


鈴木さんの新作の説明を開くメンバー(右から飯田さん、飛田さん、鈴木さん、シミズダニさん、近藤さん、スポークンワーズプロジェクトのスタッフの三橋奈穂子さん)

 5人の個性を掛け合わせてデザインや表現の可能性に挑戦しよう――。「スポークンワーズプロジェクト」を主宰する飛田正浩さんは今秋、テキスタイルの仕事に携わる4人と「5☆」(ファイブスターズ)を立ち上げた。11月1~8日の初の展覧会は、4人が新作の布を作り、スポークンワーズプロジェクトが服を制作して受注販売する。

(須田渉美)

原則10メートルの提出

 メンバーは、飛田さんのほか、「OTTAIPNU」を主催する鈴木マサルさん、「JUBILEE」のシミズダニヤスノブさん、「イイダ傘店」の飯田純久さん、空間や内装に携わる近藤正嗣さん。5人とも多摩美術大学テキスタイルデザイン専攻の卒業生で、テキスタイルを生かした様々な分野で活躍している。縁あって出会い、先輩後輩の垣根を越えた関係で「付かず離れず、時にはライバル視しながらつきあってきた」。

 きっかけは、今秋、スポークンワーズプロジェクトがアトリエ兼事務所を東京都町田市にある、しぜんの国保育園の旧園舎に引っ越したこと。「広くて雰囲気のある建物を使って、展覧会的なことを継続的にやっていけたらいいなと思い立って声を掛けた」と飛田さんは話す。他の4人は直接、服作りはしていない。それぞれにテキスタイルを作ってもらい、自身が服を作る協働によって、新しい一面が見えてくるのではないかと企画を立てた。

 布作りのテーマは〝#スポークンと私〟。「普段はやらないこと、新作を作ること、原則10メートルの提出」のルールを設けた。10メートルは「工場生産ができないので、自分でデザインから生地の制作まで完結させる」意図がある。飛田さんは、図案の特徴を生かして1デザインの服を制作する。展示会では10メートルから3着、注文主のサイズに合わせて受注生産する。

〝#スポークンと私〟をテーマに飯田さんが手描きしたテキスタイル

自ら手を動かす

 長年のキャリアを積む4人だが、「最初にどんな服を作るのか、決まっていないのが難しい。仕事ではクライアントの意向や、目的のあるプロダクトに対して考えることが多く、生地だけデザインすることはまずない」と近藤さんは話す。一方で、作った布がどんな形になって展示されるのか、そこに楽しみもある。「共通のテーマを持って、自由に作る。どちらかというとアートに向き合う感覚。テキスタイルの実験集団として緩やかに続けていきたい」と飛田さん。

 10月半ばの打ち合わせ時には本業の合間を縫って、4人は生地を完成させた。10メートルのキャンバスに、それぞれの思いが宿る。シミズダニさんは「柄のリピートがないテキスタイルを作りたいと思って、ローラーやスタンピングなど全て手仕事で加工を重ねた。試作を繰り返すうちに1反(58メートル)作っていた」と笑う。鈴木マサルさんも、新作の図案を自身がシルクスクリーンですり上げている。

 自ら手を動かす。そこには次世代に伝えたい思いもある。5人は美術大学などで講師を務め、教育にも携わっている。「テキスタイルデザインは可能性を秘めた分野だと夢や希望を与える場になっていけたら」と飛田さんは話す。

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