「モール型ECと自社EC(ブランドや企業の公式サイト)の購買行動の分岐点は?」――ネットショップコンサルティングのフルバランス(東京)は、過去1カ月以内にECで商品を購入した20~30代の男女111人を対象に、「ECサイトにおけるユーザー体験に関する実態調査」を24年12月末に実施した。それによると、74%近くが両ECを使い分けており、約6割がモール型ECを「価格重視」で活用。一方で、自社ECは「商品へのこだわり」と「ブランド独自のポイントをためたい時」に利用していることが分かった。
「商品購入でモール型ECと自社ECを使い分けているか」の質問では、「使い分けている」が73.9%、「使い分けていない」25.2%、「分からない・答えられない」0.9%だった。
「自社ECでの購入を選ぶ理由」(複数回答)は、「ブランド独自のポイントをためたい」32.9%、「ギフト梱包(こんぽう)を希望する場合」31.7%、「ポイント還元を活用したい場合」30.5%となった。このほかに「求めている支払い方法がある場合」や「公式ブランドと直接コンタクトを取りたい場合」なども20%台と高かった。
「モール型ECサイトを選ぶケース」では、「価格を重視する商品の場合」が57.3%と最多。「モールのポイント還元を活用したい」39%、「複数商品をまとめて購入する場合」39%。このほかに「日用品など定期的に購入する商品の場合」や「商品の比較検討をしたい場合」は26%台だった。
「自社ECサイトを利用する場合、ブランドや企業サイトを閲覧するか」では、「閲覧する」が25.3%、「時々閲覧する」42.3%だった。「興味のある内容について」は、「商品へのこだわり」が56%、「Aboutページ・私たちについて」29.3%、「ブランドストーリー」28%。このほか「企業の取り組み(サステイナビリティーなど)、「企業理念・ビジョン」も25、26%と高かった。
「ECサイトに必ず備わっていて欲しい機能」は、「クレジット決済」55.9%、「スマートフォン決済」33.3%、「配送追跡機能」24.3%、「商品レビュー・口コミ機能」20.7%。このほか「配送日指定機能」や「在庫状況表示」などのニーズが高かった。
「使いやすさを高めるために、あったらいい機能」は、「画像の説明文表示」が37.8%、「キーボードのみでの操作」27.9%、「音声での商品説明や操作」12.6%、「文章の読み上げ機能」11.7%。また、自由回答として「動画」や「AI(人工知能)での検索、おすすめ機能」を求める声もあった。
調査したフルバランスは「ECサイト選択の際に、価格とブランド体験が重要な判断基準となっていることが明らかになった。特に自社ECサイトでは、商品・サービスの付加価値や、企業独自の魅力を重視している。ECサイト構築において、単に価格競争に頼るだけでなく、差別化の要素を効果的に伝え、競争優位性を高めるための戦略が求められる」と指摘している。