アウトドア企業を中心に、修理サービスの充実や、使用済み製品をリペアなどして再販売する動きが加速している。良いものを適切なケアで長く使い、着なくなったものは捨てずに別の人に譲ることを呼びかけ、消費者の行動変容を促す。
製品寿命を延ばす
ゴールドウインは11月8日、恵比寿ガーデンプレイスに客から買い取ったキッズアパレルを補修などして再販売するプロジェクト「グリーンバトン」の第1号売り場を開設した。グリーンバトンとは、同店含む直営16店で「ザ・ノース・フェイス」と「ヘリーハンセン」のキッズ製品をクーポン券で買い取り、リペアなどで付加価値を高めて製品寿命を延ばす取り組み。状態の良いものはクリーニングを経てそのまま再販売するが、部分的に修復が必要なものは、同社のリペアセンター(富山県)でワッペンやあて布などで補修・機能回復し、さらに状態が悪いものは製品ごとに使用可能なパーツを集め、新たな製品としてアップサイクルする。
売り場では常時約90点を揃える。目安は、そのうちの6割がクリーニング製品、3割がリペア品、1割がアップサイクル品。オープン後3日間の売れ行きは約100点で、同社では「当初想定より速い」という。
今後は買い取り拠点と対象ブランドを増やすとともに、同プロジェクトの認知拡大を急ぐ。
全国でイベント開く
手持ちの服を修理して、長く使うことを呼びかけるパタゴニア日本支社では、鎌倉と横浜にリペアセンターを構え、約60人の専門スタッフが年間約2万件を修理する。同社では、ミシンを載せたリペアトラック「つぎはぎ」で全国のアウトドアフィールドなどに赴き、リペアイベントも開催している。
直近に実施したのは、関西・東海・関東圏のサーフエリアを巡った「ウォーンウェアサーフツアー」(10月26日~11月6日)。修理スタッフが破れたり壊れたりしたウェットスーツやボードショーツ、ラッシュガード、サーフハットなどを無料で修理した。同イベントでの総修理件数は、295件。
同社では今後も、リペアトラックを活用し「新品よりもずっといい」を伝える活動を続ける。23年~24年にはスノーエリアでも同ツアーを組む予定だ。
アメアスポーツジャパンは10月7日に開いた直営店「アークテリクス東京丸の内ブランドストア」内に、修理などに関する対面相談を受ける国内初の専用窓口「リバードサービスカウンター」(予約制)を併設した。アークテリクスでは、製品寿命を延ばすためのケア方法の啓発やリペアサービス、使用済み製品の回収・補修・再販売、耐用年数の過ぎた製品のアップサイクルなどに取り組んでおり、同カウンターの設置は世界5番目。窓口設置後1カ月で、240件の相談に応じ、うち100件以上の修理を受け付けたという。将来的には、顧客から集めた中古品をそこで再販売する計画もある。
(繊研新聞本紙22年12月2日付)