ファッション須賀の生活雑貨業態「マディ」は昨年6月で30周年を迎え、都内など関東圏で出店を増やす予定だ。国内外からセレクトした食器類やテーブルクロスを、色に統一性を持たせてコーディネートする提案を一貫して行ってきた。コロナ禍で心地よい暮らしを求める消費行動が高まり、その後も底堅い需要がある。
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和洋の垣根越えて
青、緑、黄――。ブランドが「マドゥのトリコロール」と呼ぶ陳列棚が店舗の特徴だ。陶器の皿、カップ、箸置きなどの小物が色別に所狭しと並ぶ。テーブルウェアのほか、洋服や小さなガラス製の置物など、店内の商品総数は7000~8000点にも及ぶ。
94年、和洋の食器などテーブルウェアの販売を中心としてブランドを始めた。同社はすでに子供服「ハッカキッズ」や婦人服「スーパーハッカ」などのアパレル事業があったが、雑貨専門のスタッフを雇い「完全に別物」(田中宏幸社長)としてスタート。
当時一般的だった和洋で食器売り場を分ける販売方法とは異なり、垣根を越えた品揃えに挑戦した。綿引香織チーフマネージャー兼ディレクターは「テーブルといすでハンバーグとみそ汁、ご飯を箸で食べるように、食器も和洋を組み合わせていい。温かみや色合いには共通点があり、無理なく取り込める」と話した。
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現在も主力はテーブルウェアだ。全国に13店と自社ECがある。標準面積約130平方メートルの店舗には特注のテーブルを置き、テーブルウェアのコーディネートを見せる。毎週本部の社員がセットを変更し、全店で揃えている。
作家作品も積極的に
最近は各地でクラフトフェアが盛んだが、マディはオープン当初から作家作品の販売に取り組んできた。扱うのは、陶器、絵画、伝統工芸など多様だ。ブランド20周年を機に青山店の屋号を「エンカウンターマディ」に変更し、店舗の一角に作家の世界を表現できる個展スペースを設けた。
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個展は1カ月に2回程度、4人の本部スタッフが担当している。全員が長く勤める雑貨好き。人気作家は引き合いが強いが、各地のクラフトフェアや個展、SNSなどで販売を始めたばかりの作家と接点を持ち、個展の開催を重ねて信頼関係を構築していく。
関東圏への出店に加え、作家との協業商品などで作家作品を全国の店舗に広げることも次の目標だ。また、ECでは店舗のようなコーディネートを見せるサイト作りを課題に挙げる。田中社長は「コーディネートを大切にすることは変わらず、他の雑貨店と品揃えを差別化していきたい」と話した。