【連載】エグゼクティブキャリア新市場⑤

2018/12/10 06:30 更新


 オンワード樫山とオンワードパーソナルスタイルは、成長が期待される女性管理職市場に対し、コーディネート提案やパーソナルオーダーなどソリューション技術で販売を拡大する。

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〝アラ管〟に提案

 「結婚や出産を経て、復職する女性が増えている。百貨店市場の主軸となるこのゾーン、特に都市型やターミナル型の有力百貨店におけるプライオリティーは高い」と言うのはオンワード樫山の越智大輔23区事業本部事業本部長。「単品によるスタイル提案を今まで以上に強化する」ことで拡大を狙う。

 23区は18年秋冬に向け、〝アラウンド管理職=アラ管〟をターゲットとするムック媒体の季刊女性誌『オウン』(世界文化社)と共同でプロモーションを行った。「23区のセットアップがかなえる――〝着回せるスーツ〟コーディネート手帳」と題した冊子も挟み込んだ。10月には「骨格診断による、〝似合うジャケット〟の見つけ方」セミナーもオウンと共同開催した。「体形コンプレックスを克服し美しく見せる」を主題に、骨格診断士の荒木登希さんによるトークショーや、23区の商品を生かしたコーディネートをアドバイスした。

〝アラ管〟をターゲットにした戦略を打つ「23区」

価格戦略でなく

 越智本部長は「キャリア市場は飽和状態と言える。そのなかにあっても過度なプライス戦略に陥るのは避けなければならない」と言い切る。23区は上質な梳毛による作りの良さを生かしたジャケットで4万円台後半。19年春夏には、麻調の合繊など新素材やジャージーなどを使い、多様なジャケットの開発に力を注ぐ。

「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」は女性向けに約150種類の生地をそろえる

 オンワードパーソナルスタイルは昨年10月、スーツのオーダーサービス「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」を立ち上げた。「想定以上」の女性客が訪れる状況にある。今年6月、銀座にオープンした予約制の「ガイドショップ」は来店客の約4割が女性だ。40~50代のキャリアを積んだ女性や管理職が目立つ。

 「スーツ難民が多いことを実感した」と話すのは、店頭で接客を担う和田奈津子さん。体形変化で既存のキャリアブランドのスーツが合わなかったり、上下のサイズが異なり始めたりと、サイズの悩みを持つ女性たちが選んでいるという。日頃忙しく、百貨店などを何軒も回って探す時間がない人にとっては、ワンストップ・1時間程度で自分にぴったりのスーツが作れる利便性もある。3万円台からオーダー可能だが、価格にはそれほどこだわらず、結果として4万~5万を超えるケースが多く、2着目を購入する女性も多い。

 カシヤマ・ザ・スマートテーラー全体での女性比率はまだ1割程度。「今はフェイスブックなどでたまたま見つけた方が来てくれているが、探している人は多い。女性のニーズはもっと多いのでは」。潜在ニーズはまだまだありそうだ。

(赤間りか、壁田知佳子、北川民夫。繊研新聞本紙11月5日付)



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