靴の製造・輸入卸のロカシュー(大阪市)の大山一哲社長は5月、靴職人養成の「エスペランサ靴学院」の学校長に就任し、運営を開始する。同学院の商標権を持つワールドと商標使用許可契約を結んだ。5月に開講する47期から大阪市に移転して刷新する。73年に神戸レザークロスが創立した浅草校は、46期をもって3月19日に閉校する。
大阪校は、大阪市の地域職業訓練センター、A'ワーク創造館内で開講し、定員は15人の予定。大山学校長は、靴作りの技能の習得にとどまっていた1年間のカリキュラムにビジネスコースを導入し、マーケティングや販路開拓、リペア、SNS、起業・経営・金融などの講座を開く。シューフィッターのプライマリーコースの資格の取得も必修にするなど、卒業後の進路を様々な視点で見いだせる指導に力を注ぐ。
開かれた学校を目指し、秋には入学検討者や地域の人々に開放する公開例会を行う。卒展は外部企業の協力を得て、商談や人材のマッチングができる機会も設ける方向だ。講師も新体制となる。ビジネススクールとしての機能を強化し、技能指導を含めた十数人の講師は全て外部に依頼する。「学校の先生ではなく、物作りの現場や産業界で活躍する現役の専門職の方に、実情を反映した形で指導してもらう」考えだ。
大山学校長は、19期の卒業生。同学院の運営会社のM&A(企業の合併・買収)に伴い、継続が困難になった中で相談を受け、「自分をはじめ、1000人を超える卒業生が戻れる場所を残しておきたい」と引き受けた。「50周年の際は、皆で集う記念の会を開きたい」と話す。