「エリウツギ」 原宿にショールーム開設 資源ロスのないブランド目指す

2021/02/12 06:25 更新


 宇津木えりが手掛ける新ブランド「エリウツギ」は、表参道ヒルズの裏手にある住宅街にショールームをオープンした。資源ロスのないサステイナブル(持続可能)なファッションブランドを目指すべく、生産は客の予約分のみ。卸販売はせず、オンラインサイトのみで注文を受け付ける。実際に商品に触れられる場所としてショールームを開設した。

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 宇津木は、「服の在庫が問題となるなか、服がかわいそうだと感じていた。だから必要な分だけ作って、長く着てもらう仕組みを考えました。洋服が喜ぶことをやりたかった」と語る。その気持ちを表す象徴として、ショールーム中央の壁面には、布をなるべく捨てないように生地幅いっぱいに配置した型紙が飾られている。

ショールームには無駄を出さないように配置された型紙が飾られている

 ショールームでは現在、新作のジャケットやシャツ、Tシャツのサンプルが並んでおり、試着することができる。アイテム数は16と必要最低限だ。

 なかでも目を引くのは、法被のようなジャケット。きもののように平面的なカットとテーラードジャケットの立体的なフォルムを組み合わせて、リラックス感ときちんと感の相まったジャケットを提案している。シンプルだけど見たことのないデザインからは、宇津木らしい遊び心が感じられる。組み合わせるのははかまのようなワイドパンツ。内側にボックスプリーツを畳んで、足さばきの良いフォルムに仕上げた。男女ともに着ることができる。

新作のジャケットを羽織る宇津木さん

 2月末まで受注を受け付けて、5月中旬に納品する。ショールームでは、わざわざ来てくれたお客が楽しめるようにと、生地の耳まで使ったポーチなどの雑貨を購入できる。オープンは土日祝日以外。宇津木らスタッフがショールーム上のアトリエで仕事をしており、フレキシブルにショールームにも顔を出す。

 仕事の質も重要な課題だ。特に「工場の職人が喜んで仕事する環境にあるかどうか」に意識を配る。「工賃は妥当か、納期に無理はないか」をしっかり考え、関わる人の幸せを確保する。そうして出来上がった服を届けることが、消費者にとっても幸せなのではと感じている。「これは理想の形。だけど、目指していきたい。ファッション業界では遅くまで仕事する人が多かったですが、自分たちの生活も守っていきたい」と語る。

ショールームではサンプルを試着できる

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