フィルムのレディスブランド「ダブルスタンダード・クロージング」の20年秋冬は、このブランドらしい「大人のための元気なカジュアル」をぎゅっと凝縮したラインナップだ。ここ数シーズン売り上げが好調な一番の理由は、ぶれない企画という手ごたえをつかんでいる。無難なデイリーカジュアルでなく、若い人たちのストリートスタイルとも違う、ちょっと攻めていて遊び心のある大人のデザインが客をつかんでいる。
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スタイリングは、コンパクトなトップとロングスカートやボリュームあるパンツ、ビッグシルエットのトップとスキニーなパンツの二つの軸で分かりやすい。その中で一つひとつのアイテムの強さが面白みを作る。要素は、サガラ刺繍やジャカードで描く大きなロゴ、蛍光色、レパード柄、手刺繍のハート柄、インターシャの星柄など。
着丈短めのトップは、配色のコントラストが楽しいハート総柄や「D」ロゴがレパード柄になったプルオーバーなど。コンパクトシルエットのアウターはレパード柄ジャケットや大きなロゴのMA-1タイプなど。少しフェミニン寄りのシアーブラウス、裾両サイドに編み出したテープを結んだり垂らしたりできるボーダー柄ニットトップのほか、スニーカー合わせを想定したプリントドレスもある。
ビッグシルエットのトップは裏毛のボディーにチュールをふんわり重ねたプルオーバー、膨れジャカードの星柄パーカなど。ランダムにカラフルに切り替えを入れたジップアップブルゾンも。
ボトムは黒のフェイクレザーのスリムパンツとロングスカート、宇宙とロケットにブランドロゴも入ったスペシャルなジャカードやラメ入りチェックのマキシスカートなど。
より大人っぽくエレガントな「ソブ・ダブルスタンダード・クロージング」は、レトロな幾何学柄のコンパクトジャケット、ぴったりしたラメニットのスカートセットアップ、フリルカラーやボウタイのドレスと、テーマのモダンビンテージを濃く表現した。19年冬にヒットしたフェイクムートンのコートは今年も用意。ウール1枚仕立てのテーラーカラーのジレとコートは重ねて着るのがおすすめだ。
この秋冬の受注は予想を超え、前年同期の90%まで行った。春夏物に関しては、本格的な暑さはこれからであることから、セールを焦ったりせず、商品の投入を後ろにずらしながら例年通りの日程で売っていく。商業施設に入る実店舗も再開され、顧客が戻ってきている。