百貨店婦人キャリアのコート販売は数量、金額ベースともに前年比2ケタ増で、復調傾向が鮮明となった。緊急事態宣言の解除で通勤やイベントなど外出機会が増え、実需品の売れ行きが10月から急拡大した。「2年ぶりにコートを買った」という購入客が目立っており、コロナ禍前の19年比でも消費増税の買い控えの反動があったとはいえ、売り上げ増を確保した。本格的な消費回復には至っていないが、気温低下の後押しで11月後半~12月中旬の正価販売のピークを最大化して取り込む。
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ウールがけん引
今コート商戦の最大の特徴はここ数年不振が続いていたウール系の動きが良いこと。「顧客を中心にインポートダウンの売れ行きが9月から上向いた」(伊勢丹新宿本店)と先行したが、10月に入ってウールの実需品が伸びた。累計売り上げは阪急うめだ本店が30%増、伊勢丹新宿本店が15%増、西武池袋本店が10%増だった。消費増税の影響があったコロナ禍前の19年に比べて、阪急うめだ本店が同年実績並み、伊勢丹新宿本店、西武池袋本店が上回った。18年に比べると、水面下にとどまっているが、販売不振の底を脱した。