22~23年秋冬メンズ 解体された先の美しさを探る=コムデギャルソン・オム・プリュス

2022/01/24 06:30 更新


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 22~23年秋冬メンズの新作発表が続いている。都内でフィジカル(リアル)のファッションショーを開くブランドやデジタル映像での発表など、形態はさまざま。コムデギャルソンはパリ・メンズコレクションのプラットフォームとは異なるオフスケジュールで新作を見せた。

(小笠原拓郎)

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 コムデギャルソンはこのほど、コムデギャルソン・オム・プリュスの22~23年秋冬コレクションを本社で披露した。暗闇の中に登場するのはストライプに生地を切り替えたコートとリラックスしたスーツの組み合わせ。そこからコートスタイルが次々と現れる。縦長のコートと組みわせるのは前シーズン、話題を集めたドレスのようなロングシャツ。シンプルな膝丈のロングシャツのほか、フロントにたっぷりのドレープを流したロングシャツがコートスタイルに変化を作る。コートやスーツのほとんどは、いわゆるテーラードの襟がついていないもの。大きくU字型に襟元をくり抜いたコートから、フェルトタッチのロングシャツのたっぷりの布があふれ出す。縮絨(しゅくじゅう)ウールのスーツや端正なジャケットも、既存のテーラード襟とは違う丸襟のマルチボタンのディテール。ボディーをカットアウトしたジャケットやコートが、伝統的な男性服の解体した後に残る新しいエレガンスを醸し出す。

 ウィメンズのコムデギャルソンにおいては川久保玲は、すでにジャケットやコートの解体と再構築による新しい価値観を幾度となく提起してきた。例えば19~20年秋冬のコレクションでは、解体された服のパーツを重ねていくことで生み出される迫力の造形美を描いた。女性服のファッションでは、男性服のように厳格なルールがないことが、解体や再構築を自由な発想で進めることとなった。しかし、男性服のもつ保守性や着こなしの厳格なルールは、これまで安易な解体再構築を阻んできた。

 今回のコムデギャルソンのジャケットやコートの作りは、そこに一石を投じるものだ。削られた襟ぐりのコートとインナーの布のボリュームの対比に、解体されたアイテムとのバランスを探る試行錯誤がうかがえる。そしてフリンジやスモッキング、フリルを大胆に表に出したアイテムからは、99年のメンズ「シークレットトレジャー」からの時代の進化を感じることができる。ジャケットの裏側に忍ばせてきた装飾は前面に出され、シャツはドレスのように、厳格なテーラードのディテールは解体される。

 男性服における自由なデザインは、どこまで進められるのか。今回のコムデギャルソンのコレクションの全てに共感できたわけではないが、そこに宿る自由な精神性と、いくつかのルックに見られる解体された先にあるエレガンスを感じ取ることができた。そして、デザインの方向性は全く異なるのだが、04~05年秋冬のメンズ「ロストイングリッシュマン」で感じた孤高性のようなものを今回のコレクションから感じられた。テーマは「ノマド」。「属さない、群れない。真に自由に自分自身で生きるノマドに憧れる。うらやましい」と川久保。

コムデギャルソン・オム・プリュス
コムデギャルソン・オム・プリュス
コムデギャルソン・オム・プリュス

 ジュンヤ・ワタナベ・マンはデジタル映像で秋冬コレクションを見せた。それは、90年代に人気となったジャミロクワイのミュージックビデオを思い出させるもの。ジャミロクワイの象徴ともいえる大きなハットとともに、軽快なスタイルをダンスとともに見せた。マルチストライプのコートやブルゾン、カラフルなポンチョのような布をアップリケしたミリタリーコート。ジュンヤ・ワタナベ・マンが得意とするパッチワークスタイルが充実する。デニムパンツやコートにパッチワークされるのは、アメリカ先住民のラグのような織り柄。今回のコレクションには、メキシコ文化省とペンドルトン・ウーレン・ミルズが協力している。世界中の先住民族文化に共鳴して独自のファッションスタイルを作ったジャミロクワイと協業して、そのファッションスタイルをリミックスした。

ジュンヤ・ワタナベ・マン

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