22~23年秋冬ミラノ・メンズコレクション ミラノ初参加デザイナーの発表相次ぐ

2022/01/21 06:28 更新


 22~23年秋冬ミラノ・メンズコレクションは、ミラノ初参加の若手の発表が相次いだ。それぞれのオリジナリティーを背景にしたコレクションが充実した。

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 JWアンダーソンは、ミラノへと発表の場を移して22~23年秋冬メンズとプレフォールのウイメンズコレクションを見せた。フィジカルでの発表を当初計画していたが、デジタル形式へと変更した。映像はモデルたちが階段を下りてくるというシンプルなもの。そこに登場するのはジョナサン・アンダーソンらしいミニマルな中に収めた装飾のデザインだ。

 可愛いゾウのキャラクターとそれを描いたアイテムが今シーズンのアイコン。シルエットは、縦長とマイクロショートの二つのラインに分けられる。メタリックなポロシャツとショートパンツのセットアップはマイクロ丈が際立つ。一方、縦長はワンピースのようなロングニットやデニムのシャツドレスのようなアイテム。ジェンダーフリーを感じさせるラインだ。

JWアンダーソン

 ひものディテールも今季のポイント。カラフルなひもをノットにして作ったトップやリング状のひもを知恵の輪のようにつないだトップが目立つ。太いひも状の膨らみをアイテムの端に入れてアシンメトリーな布の動きを作るデザインもある。ドレスの裾に太いひも状の膨らみでボーンのような立体感を作ったり、シアリングコートの前合わせにイレギュラーなボリュームを作ったり。救命胴衣のようなキルティングベストやカラフルな輪ゴムを編み込んだトップも楽しい。

JWアンダーソン
JWアンダーソン

 MSGMは、新作を着たモデルの映像の断片をショートムービーで配信した。秋冬はMSGMらしいサイケデリックな色使いとソファからインスピレーションを得たボリューム感が特徴となる。オレンジ、ピンク、ブルー、パープル、ミントといった色を様々なアイテムにのせていく。コーデュロイのパンツ、フリースのブルゾンは鮮やかなグリーン。シャツにはマグマのようなマーブル模様がのせられる。ソファのボリューム感はハーフパンツやブルゾンへと転換された。布団のようにパフィーなマフラーもある。キルティングを入れたボリューム生地のハーフパンツやパーカが、ラウンジウェアとストリートをつなぐ。足元はトレッキングブーツやスリッパ。

MSGM

 ブルネロ・クチネリは、ミラノのショールームで新作を発表、ルック画像を公開した。テーマは「クロスロード」。躍動的な都会にインスピレーションを得て、一つのデイリーなスタイルが様々な解釈と出合う通過点を表現した。タイムレスなニュートラルカラーであるベージュ、グレー、ブルーの繊細な色調をベースにキャロットオレンジやザクロレッド、ライムグリーンを差し込んだ。柔らかなフォルムやボリュームが、エレガンスと心地良さの貴重なバランスを生む。現代的レジャーテイストを意識したコートやピーコート、サルトリアルのクラシックテイストがデニムのスポーティーなスタイルにアップデートされた。

ブルネロ・クチネリ

 Kウェイ フランスのアウターウェアブランドが、ミラノ・メンズコレクションに初参加した。もこもことしたボリューム感のあるアウターと伝統的なアーガイルを強調した。パッデッドブルゾンのキルティングもアーガイルのようなひし形モチーフ。イエロー、オレンジ、ブラックの3色がダッフルコートやブルゾンにアクセントを作る。

Kウェイ

(小笠原拓郎)

 マリアーノ オーバーサイズのアウターにテーパードパンツ、マリアーノ節は健在だ。シャネル風のツイードジャケットやラメのシャツ、ドレッシーなアイテムの一方で、はっぴのようなストリングス開閉のテーラードにはリラックス感があった。古着のTシャツで作ったベストやプルトップのバッグなどアップサイクリングの要素も。

マリアーノ

 ジョーダン・ルカ ロンドンから発表の場を移した英国とイタリア人のデザイナーデュオ。ミラノデビューは思いのほかロマンティックなものであった。厚手のフェルトトップの胸元にはバラのブーケ。ジュエリーで飾られた大きなスリットから望む太ももが色気を醸し出す。永遠のつながりを願うかのようにパドロックがローファーのデコとして使われた。

ジョーダン・ルカ

 ガル ランウェーデビューに際しジャスティン・ガルは、自身の過去と現在の作品を再考し融合させた。シャープなラインに丸みのあるシルエット、テーラーリングでユーティリティーにボリュームを作り出す。パフジャケットやパンツの中身はリサイクルグースフェザーやカシミヤ断熱材を使用、サステイナブル(持続可能)にもこだわりを持つ。

ガル

 44レーベル・グループ ベルリンを拠点にして活動するテクノ音楽プロデュサーでDJのコボシルが手掛けるブランドがミラノデビューを果たした。クラブウェアをベースに、シューズやジュエリーまでフルラインアップで展開する。20年にローンチ、背景には「アン・ドゥムルメステール」と同じクラウディオ・アントニオーリ氏のドリーマーズ・ファクトリーがある。

44レーベル・グループ

 カナク 21年春夏のピッティ・イマージネ・ウオモでデビュー。ブランドを手掛けるユルゲン・カナクはアルバニア人移民としてイタリアで育ったバックグラウンドを持つ。ダメージ加工のコットンブルゾンやパンツから艶感のある幾何学模様の素材のレイヤーが顔を見せる。ナポリ仕込みのテーラーリングで独自のエレガンスを表現。

カナク

(ライター・益井祐)



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