ファッション業界では漫画やアニメなどと大手企業が協業し、新たなファンを獲得する手法は当たり前になった。〝推し活〟も一般化し漫画やアニメなどのファングッズも市場にあふれている。逆にクリエイター自身が作品を創作し、その物語の世界を商品化し、ブランディングに活用する新人も登場してきた。
自身の作品から商品開発する星野夜さん
創業支援施設「台東デザイナーズビレッジ」に今春に入居した星野夜(ブランド名でもある)さんは自身が描く漫画や小説のダークファンタジーの世界をアクセサリーや雑貨に落とし込む稀有(けう)な存在だ。
星野さんは、中学時代から消しゴムハンコ作りに夢中になり、ナチュラルで可愛いものを作っていた。その後、看護師になってからも東京・三軒茶屋のハンドメイド作家を支援するギャラリーで個展を開催し、イベントで販売もしていた。元々映画『ハリー・ポッター』シリーズが好きで、ダークファンタジー要素の作品も少しずつ作り始めていたが、消しゴムハンコを長く続けるのは難しいと判断し、昨年から手作りアクセサリーと雑貨に切り替えた。
小説や漫画などの出版物として制作するようになったのは、一昨年のクリスマスから。「それまでは商品を作るのに頭の中だけで物語を創作していたが、漫画や小説にした方が伝えたいメッセージが届きやすくなり、ブランディング上も差別化できる」と考えている。