初開催、合同展クラッチコレクション

2015/06/03 12:58 更新


 メンズカジュアルを中心にした合同展「クラッチコレクション」(枻出版社主催)が、初めて開催された。会場は横浜・大桟橋ホール。「日本ブランドを海外へアピールする場を作る」を目的に、メード・イン・ジャパンをはじめ、ものづくりを強みにする100以上のブランドが集まった。それぞれが欧米、アジアから来た有力店バイヤーに自信作をぶつけた。

 バイヤーの注目を集め、勢いを見せたのが国産ジーンズカジュアルブランドだ。すでに海外輸出実績のあるブランドも多く、品質の高さと技術を生かした表現力をアピールして新規開拓に手応えを見せた。

 「ステュディオ・ダ・ルチザン」(ステュディオ・ダ・ルチザン・インターナショナル)は、今後の輸出拡大をにらみ海外向け限定のジーンズを用意した。クラシックと現代のワークスタイルとを融合したシルエット、デザインにし、縫製・洗い加工だけでなく、デニムも児島産を再現し、メード・イン・児島で打ち出す。専用デザインの鹿革パッチや上質なスレーキを採用する。3万5000円。

ステュディオ・ダ・ルチザン 海外向け限定のジーンズ
ステュディオ・ダ・ルチザン 海外向け限定のジーンズ

 海外への輸出経験が豊富な「ピュアブルージャパン」(正藍屋)は、インディゴや本藍を活用した様々な企画をぶつけた。インディゴのジャカードニットを部分的に切り替えたスエットプルオーバーや、海外からの反応が良い本藍染めジーンズ、3万5000円などがある。

ピュアブルージャパン 本藍染めジーンズ
ピュアブルージャパン 本藍染めジーンズ

 「フルカウント」(同)は定番商品に加え、炭鉱夫をイメージしたインパクトのあるGジャンやジーンズを見せた。表面に赤土などが染み付いたような色を重ねている。Gジャン4万6800円、ジーンズ3万6800円。

フルカウント 炭鉱夫をイメージした
フルカウント 炭鉱夫をイメージした

 「倉」(マエノ)は海外を意識して和の要素を取り入れた。刺し子風のドビー地や和柄を部分的に取り入れたジーンズ、1万9800円、インディゴで製品染めしたはんてん(2万4800円)などがある。

倉 刺し子風のドビー地を部分的に取り入れたジーンズ
倉 刺し子風のドビー地を部分的に取り入れたジーンズ

 「アナクロノーム」(バランス)は定番のGジャンでハードな加工をした新作を出した。色落ちだけでなく、手作業のリメークやダメージ加工を盛り込んだり、尾錠(びじょう)が切れたように仕上げるなどの工夫をのせている。4万5000円。

アナクロノーム ハードな加工をした新作
アナクロノーム ハードな加工をした新作

 「ソウライブ」(ジャパンブルー)は、様々なアプローチによるインディゴの商品を提案した。代表商品は「移染を活用する発想」でナイロンにインディゴを付着させて仕上げるMA‐1ブルゾン。若干の色ムラ感も売りとする。裏地はバンダナ柄。中わたは一部の採用にとどめ、3シーズン着られる。4万5200円。

ソウライブ ナイロンにインディゴを付着させて仕上げるMA‐1ブルゾン
ソウライブ ナイロンにインディゴを付着させて仕上げるMA‐1ブルゾン

 バイクに乗りながら不自由なく着られる洋服、をコンセプトにした「アイアンハート」(ワークス)は、主力の21オンスデニムを使ったジーンズを提案。バイクに乗った時の適度な重さと着心地とを追求している。中心価格は1万8000~3万2000円。

アイアンハート 21オンスデニムを使ったジーンズ
アイアンハート 21オンスデニムを使ったジーンズ

 「フェローズ」(志村)は独自の洗い加工で色落ちやシワ感にメリハリのある定番のジーンズを押した。14オンス近いセルビッジデニムを使ったワンウオッシュのストレートシルエットで、1万9800円。

フェローズ 色落ちやシワ感にメリハリのある定番のジーンズ
フェローズ 色落ちやシワ感にメリハリのある定番のジーンズ

 日本以外にも、品質の高さをアピールしたブランドがあった。中国の「レッドクラウド」(赤芸)は、別注した新疆製セルビッジデニムを、瀋陽にある自社工場で縫製。中国製でも高い品質のものづくりができることを強調した。バックポケットには孫悟空の頭の輪をモチーフにしたステッチ、革パッチには世界をイメージしたデザインを盛り込んだ。199米㌦。

 主催者の枻出版社、松島睦常務 当社にとって初の展示会だが、初日から海外バイヤーがたくさん来てくれた。スイスの有力店を含む欧州、アジア各国、米国やブラジルからも来場があった。来場者の3割を海外からとする目標を実現できる手応えだ。これまで海外展に出ていたブランドから、「既存販売先が普段より多くオーダーしてくれた」という声もあった。今後は展示会のクオリティーをもっと上げることを重視したい。出展者数をさらに追うと内容が薄まってしまう可能性がある。来場者についても同じ考えで、どれだけいい商売ができるかを大切にしていきたい。



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