ユナイテッドアローズのEC主力のカジュアルブランド「シテン」は、ロゴを前面に押し出したブランド戦略が好調だ。認知度を上げる目的だが、ワンポイントのデザインが若者に受け、業績を伸ばしている。22年秋販売のロゴ入りのパデッドトートバッグは、3カ月半で約6700個を売るヒットになった。
シテンは、90年代のカルチャーを基盤にストリートとモードをミックスさせたデザインが特徴。20代中心の若年層を開拓しようと21年9月に販売を始めた。既存業態で最も安い価格設定で、同価格帯の国内SPA(製造小売業)とはファッション性の高さで差別化する。男女共通で着られるアイテムも多い。1年目は目標売上高を大幅に上回り、その後も売り上げと利益が前年比2ケタ増という。
ブランドを代表するロゴ商材は、パデッドトートバッグのほか、小さく畳めるトートバッグもある。いずれもバッグの中央部分にロゴを配置した。白や緑といった単色のデザインが「推し活」のニーズもつかんだ。パデッドタイプは23年春からピンクと赤を追加した計6色、新たにドラム型、巾着、パソコンケースも企画した。税込み3520~4950円。
ゾゾタウンへの単独出店でスポット客が増えたほか、期間限定店にターゲット層と重なるインフルエンサーを招待して関係性を強め、SNSでの口コミ拡大につなげられたことも売り上げを後押しした。EC先行の予約販売も好評で、昨年8月の売り上げの6割がコートだった。
神永和洋シテン課長は「SNSユーザー間で自発的にアイテムを紹介してもらえるようになった影響は大きい。SNSを通じて直接コミュニケーションを取るなどの方法で、在庫効率を高めていきたい」と話す。