上質ジャケットでキャリア女性つかめ

2016/12/29 06:29 更新


 百貨店を主販路とする婦人ブランドで、キャリア向けの上質なジャケットの開発が相次いでいる。背景にあるのは、働く女性の活躍の場の広がり。店頭でもジャケットの販売が好調なため、アイコンとなるようなジャケットを新たに投入し、キャリア女性のニーズをつかみたい考えだ。

 百貨店の婦人服で、キャリア向けジャケットの好調ぶりが目立つ。三陽商会の「ポール・スチュアート」は今春夏、通勤を意識したジャケットのバリエーションを充実した結果、4~9月のジャケット売り上げが前年同期比20%増ペースで推移した。ワールドの「リフレクト」はアイコンともいえる「匠ジャケット」が売れ、今秋冬の販売は昨秋冬の8700枚を大きく上回る1万4000枚の計画。今年4月の女性活躍推進法の施行に加え、国内外の女性政治家の活躍や、ジャケットを着こなすキャリア女性が主人公のテレビドラマの放送などで、働く女性のロールモデルが示されたことも追い風となった。

 

「ポール・スチュアート」がエグゼクティブキャリア向けに開発した「ファーストジャケット」 「ポール・スチュアート」がエグゼクティブキャリア向けに
開発した「ファーストジャケット」
 
管理職になったら

 そうした流れを受けてポール・スチュアートは17年春、ブランドのアイコンとなるような「ファーストジャケット」を出す。シワになりにくい特殊な加工を施した生地を使い、メンズのスーツのノウハウを生かしたパターンで、ストレスを感じさせない着心地を追求する。働く女性を対象に行ったアンケート結果に基づき、スマートフォンや名刺、ペンを入れられる内ポケットを付けるなど、女性の使い勝手を意識した仕様で、7万9000円。ファーストジャケットの名称には「管理職になった女性に最初に着てほしい」「一番のお気に入りのジャケットになってほしい」との思いを込めた。

 オンワード樫山の「ICB」は来春夏、ジャケットスタイルのセットアップ拡充策の一環で、梳毛スーツのハイグレードラインを投入する。梳毛スーツではこれまで3万6000円と4万6000円のジャケットを販売してきたが、来春夏に向けて7万8000円の高級ジャケットを開発した。「国内屈指の縫製技術を持つ」メンズのスーツ工場と組み、シャープでマニッシュな雰囲気を出しながら、女性らしさのあるジャケットに仕上げた。エグゼクティブ層も想定し、「キャリアアップする女性のための新たなスーツの提案」とする。

 

働く女性の味方

 リフレクトは今秋、匠ジャケットに次ぐ新しいコンセプトのジャケットの販売を始めた。「全ての働く女性の味方!」をテーマにした「なごみジャケット」だ。体に優しい着心地で、「緊張する場面でも和んでもらいたい」との思いを込めた。トルコの高級スーツ地メーカー、バハリエの光沢のある上質なウールを使用し、ストレッチのきいた着心地の良さが特徴だ。優しいピンク色の内ポケットやネームタグを付けるなど、クールな雰囲気の中にリフレクトらしい甘さを加えた。3万9000円。共生地のパンツ(1万9000円)もある。

トルコの高級スーツ地メーカー「バハリエ」の上質なウールを使用した「リフレクト」の「なごみジャケット」 トルコの高級スーツ地メーカー「バハリエ」の上質な
ウールを使用した「リフレクト」の「なごみジャケット」

(繊研 2016/11/24 日付 19596 号 1 面)



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