石川県小松市で、後染め洋装専門のシルクジャカード織り工房を営んでいる。
ふと眺める冬の空。日本海側の住民から見れば、太平洋側に住む人々が少しうらやましい。どうしてこうも毎日が雨と雪ばかりなのだろうか。ただ、あと1カ月でお日様を拝めると思えば、辛抱できる。
しんしんと降る雪とは対照的に、やかましいのが両隣の国の大統領だ。世界的な政情に不安定さを醸し出す。楽しみにしていた21世紀になって、こんなに頻繁に戦争が勃発するとは思わなかった。これまでの戦争から人類は過去の教訓を学んでいるはずなのに、同じ轍(てつ)を踏む。人は不完全な生物だとつくづく感じる。
科学技術は日々進化を遂げているのに人類がその進化に伴わない。このままではいずれAI(人工知能)やロボットに地球を支配される恐れすらある。環境汚染の根本的な原因の多くを占めるのは人という生物だ。科学技術の粋を集めたAIがその根本的要因を排除すると判断した場合、人類にとって恐ろしい結末を迎えるはず。地球上の支配権の移行・変遷をたどるとすれば恐竜から人類、それからAIになるのかもしれない。環境問題や紛争を、我々の時代に解決できるだろうか。米国の大統領を見て、いくばくかの不安を覚える。
今日生まれた子供たちは22世紀を体験する。いずれ晴れる日本海の冬の空のように、将来に希望が持てる未来になることを祈る。
(小倉織物代表取締役社長 小倉久英)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。