第3回ひつじサミット尾州 消費者が物作りを知る場に

2023/11/07 06:26 更新


染色工程では色の原理からわかりやすく説明(木曽川染絨)

 毛織物の尾州産地で、産業観光イベント「ひつじサミット尾州」が今年も開かれた。分業制で培われた各社の技術を一般消費者に公開。体験イベントや尾州生地を使った製品の販売なども行い、来場者を楽しませた。

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実演やクイズ交えて

 「一般消費者、学生、繊維関係者など来て盛況だった」と話すのはチーズ染色とばら毛・わた毛染色の工場見学を行った匠染色だ。ワインダーで巻き直す工程、指定された色を作る色出しの工程、染色槽や乾燥機など、糸が入荷後にどのような工程を経て染められていくかを説明した。

 艶清興業は、後染めと整理加工を披露した。色の作り方をクイズ形式で掲示したほか、反物を入荷した後の染色や樹脂加工の工程を実演しながら説明した。生地が変化していく様子を、織り上がった生地(生機)、精練し油やのりを取った生地、染色した生地、起毛など整理加工した仕上がりの生地を見せて、分かりやすく説明した。

 木曽川染絨は、工場見学に加え、型染めと藍染めの体験を行った。型染め体験では、オリジナルデザインの型紙から一種類選び、好きな色の染料を刷毛(はけ)でなぞり染めた。

 工場見学では、染色工程や整理工程を公開した。筒状になった丸編み生地が高圧液流染色機などで染められ、水分を絞った後に縦にカットされていく様子を、参加者が興味深そうに観察した。

 起毛工場では、細かな針を巻いた起毛機や、生地表面の毛羽を切って毛玉を防ぐ工程などを見せた。

自慢の製品を販売

 尾州産地の生地や製品の販売も充実した。染色整理のソトーは、自社製品として販売している枕カバーや枕パッド、植物由来の薬剤を使った消臭スプレーなどを紹介した。

 さらにソトー本社内に設けた売り場では、瀧定名古屋、三河紡毛のほか、イラストレーターやデザイナーのブースを設けた。瀧定名古屋は、尾州産地で反毛から紡績、製織、染色整理まで一貫して行った再生ウールの生地を、国内で縫製したショールやブランケットなどで構成した「リニュール」を販売。11月から開設する専用サイトも紹介した。

 中伝毛織は、製織で発生する残糸を使った製品群「残糸プロジェクト」として、「毛七ビーニー」と名付けたニット帽子と「CAW」(シーエーダブル)のアームカバーを紹介した。カウはカシミヤ、アンゴラ、ウールの頭文字を取って名付けた。また、ウールの特徴を幅広く知ってもらおうと、ウールの靴下、ブリーフ、Tシャツなどを出品した。

直売商品、残糸を使ったサステイナブル商品を提案(中伝毛織)

 宮田毛織工業は、自社ブランド「色と柄」を販売した。期間限定品の羊柄のジャカード編みセーター、リバーシブルコートを紹介した。他に、定期的に販売している在庫生地や端切れなどを訴求した。



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