バロックジャパンリミテッドは3月3日、セレクトショップ「シェルター」の旗艦店「シェルタートーキョー」東急プラザ表参道原宿店を改装オープンする。12年の開店以来、2回目。コロナ下で急速に加速したデジタルと、同社が従来から強みとする販売員の発信力を掛け合わせたOMO(オンラインとオフラインの融合)戦略を進める。また、アートに関連した事業領域の可能性も広げる。
(関麻生衣)
改装オープンは当初、20年夏の計画だったが、パンデミック(世界的大流行)を受けて延期した。この3年間、時代がデジタルにシフトするなか「OMOをいかにスムーズにするか」(村井博之社長)を考え、「令和のカリスマはSNSのなかにいる」としてオンラインでの発信に注力してきた。従来、SHIBUYA109渋谷の店舗で活躍するカリスマ販売員が影響力を持ち、「人に依存したオフライン中心型のビジネス」を強みにしていたためだ。
そうした、人を軸にしたオンラインでの発信力を具現化するため、改装した店ではインスタライブやライブコマースなどを配信するスタジオを設置した。もともと、同様のスタジオは「スタイルミキサー」ららぽーとTOKYO-BAY店にあり、客からも反響があったという。オープン初日は各ブランドの限定商品やノベルティーを紹介するほか、ティックトッカーなど社外との取り組みも行う。もう一つの特徴がファサードのデジタルサイネージ(電子看板)だ。店内のスタジオで撮影する動画やブランドのキービジュアル、アート作品などを見せる。
アートギャラリー「ローヴス」も注目だ。もともと、「マウジー」のクリエイターやアーティストと組んだ「プロジェクト・ユー」で、個展をシェルタートーキョー東急プラザ表参道原宿店で年4回ほど不定期開催していた。それを今回、常設した。「アート(事業)に一歩足を踏み入れる」(鈴木崇真ローヴスディレクター兼キュレーター)のが狙いで、アート作品の展示や販売を行う。個展は23年3月から年間12~15回を予定。
中長期的にはアーティストが海外での個店に出店する際のマネジメントなどを担う考えも。その信用を築く上でギャラリーは鍵になる。カルチャーの発信地である東京・原宿の立地や、店のファサードのデジタルサイネージの活用を強みに、アーティストとともにギャラリーの価値を高めていきたいという。
男性客やインバウンド(訪日外国人)客に向けたコンテンツも充実する。オープンに合わせて「ゾゾタウン」で展開するメンズ「ウィムバイリドム」の期間限定店を開き、マウジーで同店限定のスーベニアシリーズも販売する。