麻布テーラー 改革実り新客を獲得 納期短縮、好立地に出店

2023/11/16 10:59 更新


8月に出したKITTE丸の内店は広域から集客している

 メルボメンズウェアーのオーダースーツ業態「麻布テーラー」は、既存店売上高が前年同期比2ケタ増で推移している。納期の短縮やデジタル販促の強化などの改革で、新規客が大幅に増えた。好立地へ移転した店舗や東京の商業施設内に出した新店も想定以上で、「中・長期的には40店(現在27店)まで拡大できる」(岡野真二社長)見込み。

 納期は22年4月時点で8週間まで延びていた。生産管理の専門家を1人採用し、グループの生産会社、メルボ紳士服工業(滋賀・広島工場)とのやり取りがスムーズになり、店頭受注後の縫製前工程や検品・出荷の工程を見直した。OEM(相手先ブランドによる生産)をやめ、生産を自社に一本化できたことも短納期化につながった。これらの改革で昨年9月ごろから徐々に改善し、現在は最短3週間、通常4週間まで短縮できた。

 従来は雑居ビルの上層階など一般客が認知できない隠れ家的立地や小型店舗が多かったが、認知度の高い立地への移転・拡大を強めている。この間、東京・表参道、神戸・三宮、福岡・天神などエリア内で移転した店舗の売り上げが前年同期比1.3~1.6倍になった。移転する店舗の面積は将来的にレディス強化を視野に165平方メートル(通常99平方メートル)に拡大する計画だ。

 8月に出店したKITTE丸の内店は新規客による売り上げが5割を占め、千葉や地方の出張者など広域から集客でき、想定の2倍で推移している。

 「麻布テーラーはリピート率の高さが強み」(岡野社長)。それを支えるのが「販売員の接客水準の高さと日本製へのこだわり。既存店は一定レベルまで成長を続けられるが、潜在顧客の絶対数が多くないので、店舗数やエリアは限られる。人材確保・育成を考えると新規出店は年間最大で2店がベスト」と見る。

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