カジュアルウェアのオーダーサービスに挑戦するブランドがある。アンティローザ(東京)が運営するメンズ中心のDtoC(メーカー直販)「キャスパージョン」だ。今年1月には東京・渋谷の路面店でカスタムオーダーができるイベントを開いた。ブランドの付加価値向上とともに、顧客との接点を深める狙いだ。
05年にスタート。主な客層はZ世代の男性で、価格はトップで約5000~6000円。買いやすい価格でモード感のある服が手に入ると人気だ。
今回のイベントはトップ、パンツなど23年春夏のアイテムを対象にカスタムオーダーを受け付けた。事前に公式ユーチューブチャンネルなどで告知したこともあり反応は良く、各日2人の予約枠は1分で埋まった。
豊富なサンプルから好きな生地を選べ、スタッフのアドバイスを受けながら「身幅はそのままで着丈を短く」といった変更も可能。特に人気だったのはフード付きのブルゾン。他にはない色を求め、明るい水色など華やかな色を選ぶ客が多かった。
価格は全アイテム均一で1万1000円と、カスタムオーダーとしては低価格に抑えた。「今回はトライアルと捉えて、赤字でやっている。ここで得た経験や客の意見を取り入れて、次回以降に採算が合う価格を設定する」と右田拓也ディレクター。将来的には約100件のオーダーを受け付ける体制を整えたいという。
「この事業では売り上げを重視していない」とし体験価値の提供や、ファンの熱量を高めるためのサービスに位置付ける。普段の販売よりも踏み込んだ接客が求められるため、スタッフのレベルアップも期待する。
右田氏は「メイン客層である大学生は、おしゃれに目覚めたばかりという人も多い年齢。そうした層が、より深くファッションを好きになるきっかけになれば」と話す。