アンリアレイジ 映像とファッションがシンクロ

2022/09/05 11:00 更新


 バイアールでの発表となったアンリアレイジ(森永邦彦)は、20周年記念コレクションとともに23年春夏コレクションを披露した。20周年記念で見せたのはコロナ下でデジタル形式で発表したコレクションを、実際の服とデジタル映像を組み合わせたもの。カラフルなテントのような造形ドレスがドローコードでフォルムを変える21年春夏の「ホーム」から、宇宙服にヒントを得たボリュームたっぷりのキルティングドレスで見せた22~23年秋冬の「プラネット」まで4シーズンのコレクションだ。

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 当時は、映像のみでリアルの服は展示会でしか見られなかったが、スクリーンに映し出す映像と重なるように実際にモデルが着用して歩く。現実にはあり得ない逆さまに歩くデジタル映像が新たなデザインソースとなった21~22年秋冬の「グラウンド」、映像とファッションがそれぞれの領域を超えて相互にシンクロしていくような見せ方となった22年春夏の「ディメンション」など、デジタルな見せ方の新たな可能性を提起したシーズンもある。

 映像とファッションが互いにシンクロしていくような見せ方は、アニメ大国である日本のファッション表現の在り方として、海外の視点から見れば「現代の新しいジャポニズム」ととらえることもできるのかもしれない。そしてコロナ下での苦肉の策として始まったデジタルの見せ方が、フィジカル復活により、どう変化していくのか。そこに新たなシナジーは起こるのかと考えさせられる。

アンリアレイジ(20周年記念コレクション)

 一方、新作の23年春夏コレクションは、ブランドの原点に回帰したかのようなパッチワークのアイテムを揃えた。ドレスにセットアップ、シャツやスカート、多様なアイテムが細かなパッチワークで作られる。原点ともいえる表現であるパッチワークは布をつなぐことだけでなく、フィジカルとデジタルをつなぐことや新しい世代へとファッションの魅力をつなぐことなど、森永の様々な思いが込められている。

アンリアレイジ(23年春夏コレクション)

(小笠原拓郎、写真=堀内智博)

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