和装小物製造販売のアンドウ ラオスでガラ紡糸生産

2020/03/11 06:26 更新


 和装小物製造販売のアンドウ(京都市)は、ラオス南部チャンパサック県パクセーの自社工場でガラ紡による綿糸生産に力を入れる。ゆっくりとした速度で紡がれるガラ紡の双糸は、撚りが甘いため空気を含み、ところどころに節ができ、綿の柔らかさを引き出せるのが特徴。「日本の技術とラオスのスローな生産を生かした」糸や製品の開発を進める。

 愛知県三河地方を中心に発展したガラ紡は、複雑な設備や多くの動力が要らないため、広く普及し、国内の綿織物の普及に寄与したが、生産効率の低さから廃れていった。アンドウは、愛知県岡崎市で使われなくなっていたガラ紡機を修理し、5年ほど前にラオス工場に設置した。

 「途絶えた技術の再生だけでなく、ラオスへの社会貢献を目指すプロジェクト」として始まった。ラオスでは労働力の確保が日本に比べて容易で、隣接するタイの原綿がガラ紡に向いていたのも理由となった。原綿は100%オーガニック。ラオスの発電は水力のため、二酸化炭素排出量が火力発電に比べて少ない環境負荷の低さもアピールする。

 糸の番手はS、M、Lの3種類。生成りのほか、工場内の自社設備で染色しトップ糸32色、ネップ糸6色を揃える。生成りは在庫し、染め糸は別注で対応する。一部の素材で草木染めも行う。今後タイのシルクやラオスで産出する天然素材なども計画する。

 生産量が月産30~40キログラムと限られるのが課題だが、ガラ紡の特徴をアピールしながら、糸で販売するか製品にするかを検討していく。すでにハンカチなどのサンプルを製作している。

 ガラ紡の売上高の一部を工場に近い農村にあるバンホゥイウン小学校の文房具購入支援に充てる。

ガラ紡は空気を含んで柔らかい糸を生む


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