アレキサンダー・ワン 季節感なくしユニバーサルに

2018/06/12 11:00 更新


 「アレキサンダー・ワン」はファッションウィーク脱出宣言後の初のショーを行った。場所はサウスストリートシーポートのピア17。前日は最高気温30度を超えたが、ショーが行われた夜は体感気温13度と季節外れの寒さ。小雨もぱらつくなか、屋外で55ルックを見せた。

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 ワンはショー後のバックステージで、今回のコレクションを「コレクション1」と名付け、デリバリーは10~3月、「6月は1年で発注が最も多く発生する月だから」と6月に発表した理由を説明した。「こんな(不安定な)気候だし、お客さんはあちこち旅をしている。季節感をなくす方がずっとユニバーサルだと思う」とワン。4月以降のデリバリー分は、12月に「コレクション2」として発表する。ウェブサイトとロゴも刷新中で、新しいサイトは10月に整う予定だ。

 コレクション1のテーマは「移民のアメリカーナ」。着想源は、1973年にアメリカに移住して当時は英語がまったくできなかった両親だ。スポーツ、モーターサイクル、ロックンロール、ウェスタンなどアメリカの様々なカルチャーをミックスし、どこか中国的なニュアンスを漂わせながらまとめる。テーラードジャケットやランジェリー風アイテムなど、今までのワンのベースとなってきたアイテムもたくさん登場した。

 ディテールのポイントは安全ピン。テーラードジャケットの袖に描いた大きなハートも、ブラの上に重ねたトップも安全ピンをつなげて作っている。セーターのケーブル編みも安全ピンで描く。ナンバーやロゴを入れたトップ、だぼっとした膝丈パンツやベロアのトラックスーツなど、メンズも10体見せた。

 ワンによると、今回初めて父親がショーを見に来たという。「どう思ったかなぁ。この後ディナーなんだ」とうれしそうだった。

(ニューヨーク=杉本佳子通信員、写真=ランディ・ブルック)

アレキサンダー・ワン
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