おしゃれな防犯ブザーで女性の安全を守れ――。アクセサリー企画製造卸のミレーヌ(名古屋市、平手秀典社長)はパスケースと一体化した女性のための防犯ブザー「パスケル」の販売を開始した。愛知県警本部、防犯ブザー製造会社、地元高校などと連携し、1年がかりで商品化した。
開発のきっかけは1年前、愛知県警本部からの連絡だった。ストーカーや痴漢、不審な声かけなどへの対策に防犯ブザーが効果的というデータはあるものの、女性の8割以上が「デザインが子供っぽい」「大きすぎる」といった理由で防犯ブザーを持っていないという状況を解決するため、女性が持ちたくなる防犯ブザーの開発への協力を要請された。
「当社は女性向け商材を扱っており、働く社員の多くが女性。何とか役に立ちたい」(ミレーヌ)と考えて開発プロジェクトに参加した。
愛知県警本部をプロジェクトリーダーに、3カ月に一度、防犯ブザー製造のヤサカインダストリーズ、愛知工業大学名電高校の学生などが集まり、「どのようなデザインなら女性が持ちたくなるか」という点を議論した。
ブルートゥース内蔵でスマートフォンと連動させたり、ウサギの縫いぐるみ型防犯ブザーにするなど様々な案が出る中、可能な限りシンプルかつ、日常的に持つ必要があるパスケース型にすることが決まった。ブランド名は、「〝パス〟ケース」と「助〝ケル〟」を合わせた造語。
パスケースは合皮を使ったマチありのファスナー開閉タイプ。中に防犯ブザーを収納するポケットがあり、ブザーを押すボタン部だけ生地を切り取ってあり、緊急の際はファスナーを開閉せずに使用出来る。付属ベルトでバッグに付けると、防犯ブザーを持っているとさりげなくアピールでき、犯罪の抑止につながる可能性もある。
パスケースはカードと小銭などを収納できるポケットが付いている。
販路はGMS(総合小売業)やECを含めた雑貨専門店など。8月上旬に工場に4000個のオーダーを入れ、既に「1400個以上の受注が入った」とする。3900円。19年1月から順次納品予定。企画、営業、生産管理はミレーヌが行う。
初年度売上高は1600万円(小売価格)を目指す。今後は鉄道会社や病院などにもアプローチし、中長期的には2万4000個を販売、約1億円に売り上げを高める計画だ。