アマゾン・ファッション・ウィーク東京19年秋冬 ジャケット、スラックスでマスキュリンに

2019/03/22 06:29 更新


 アマゾン・ファッション・ウィーク東京19年秋冬は、デザイナー自身が好きなもの、得意な分野を掘り下げて独自のスタイルを明確にするブランドが目立った。テーラードジャケット、スラックス仕様のパンツを生かしたマスキュリンスタイルがトレンドになっている。

(須田渉美、写真=加茂ヒロユキ)

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 マラミュート(小高真理)は、ニットやジャカードの魅力を追求する中で、深みのある、ぐっと大人っぽいコレクションを見せた。

 テーマはランドスケープ。陰影のある花柄をハイゲージニットで表現したドレス、擦り切れたタペストリーのようなニットジャカードのストールなど、風景のように見る人の捉え方によって変わるテクスチャーをテーラードアイテムに取り込んだり、重ね着で見せたり。表情豊かにスタイリングした。

 タートルネックのリブ編みセーターは、袖からランダムにフリンジが飛び出て、片方の肩がファスナーで開く。そんなディテールが異なる素材のアイテムの組み合わせにエッジを利かせる。

 後半は、ノルディック柄をスポーティーなジャージーウェアに落とし込み、都会的な印象を立たせた。

マラミュート

 コトハヨコザワ(横澤琴葉)は、前シーズンに出したデイリーカジュアルのテクニックを引き継ぎ、一段とプレイフルなスタイリング。

 「季節にとらわれることなく、自分が心地よいと感じる着こなしや振る舞いを考えた」と横澤。手編みでセクシーなボディーラインのトロンプルイユを表現したセーターやカーディガンを作り、重衣料はほとんど入れていない。得意とするデニムのリメイクやカットソーの遊びを掘り下げ、テンポ良く、自然体のクリエイションを広げた。

 ケミカルウォッシュのデニムパンツは、片足を大胆にカットし、もう片方には生足のイラストを手描き。チュニック丈のプルオーバーの下は、ずり落ちたデニムパンツ。パンツを逆さにして切り替えたキャミソールドレスの下にはブラ型のレザーバッグを着用。素肌をのぞかせる女性らしさとともに、くすっと笑いを誘う着こなしに磨きを掛けた。

コトハ・ヨコザワ

 ザ・ダラス(田中文江)は、80年代のシルエットやディテール、柄を反映し、強さを感じる女性像を描き出した。

 ポイントはビッグショルダーを取り入れたアイテムの着こなし。テーラードジャケットに膝下丈のワイドパンツを合わせ、首元にレパード柄のスカーフ。肩パッドの入ったカットソーには、裾をファーで切り替えたタイトスカートとペイント柄ミニスカートをレイヤードしハイウエストで合わせる。ボトムの丈のバランスの取り方で、現代女性のシャープな印象を引き出した。

 強くてしなやかな革の素材感も特徴の一つ。チュールのブラウス、グレンチェックのジャケットの上に、肩と袖だけのようなアイテムを重ね着し、コントラストを利かせる。スタンドカラーのコートといったメンズライクなアウターも揃えた。

ザ・ダラス

 ノーマティーディー(野口真彩子、佐々木拓真)は、映像、音楽、ファッションを融合したインスタレーション。

 10分間の映画「ハーモニー」は、写真家の川内倫子さんがディレクションし、ヨーロッパや日本の地方の風景ともに家族や友人と過ごす時間の断片をつなぎ合わせたもの。藤原ヒロシさんが制作したBGMが流れ、会場には映像に合ったフレグランスが漂う。「暖かみだけでなく、はかなさや厳しさといった両極の要素を共有しながら全てのものが流れているイメージを伝えたかった」と野口。

 映像の後に、男女8体のスタイリングを披露。タイダイのスウェットとパンツのセットアップ、花柄プリントのワンピースとフリースのコートの重ね着など、手仕事の柔らかさを反映した日常着を並べた。

ノーマティーディー

 ティート・トウキョウ(岩田翔、滝澤裕史)は、6色のボーラーレースを切り替えたランウェーで見せた。水彩のにじみを表現したプリント柄のブルゾンやスカート、サークルモチーフが連なったレースを配したチュールトップなど、叙情的な要素を織り込む。ネオンカラーのブーツを合わせて今っぽさを添えた。

ティート・トウキョウ

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