アダストリアは12月6日、23年春から始める「フォーエバー21」の新作を発表した。同じ商品を世界で同じ時期に販売するような従来のグローバル戦略から、日本の消費者の需要や嗜好(しこう)に合わせたローカライズの視点で服や雑貨を企画生産、販売していく。同社の物作りの背景や公式サイト「ドットエスティ」で蓄積した情報を生かし、良質な商品を適時適量で売る。
アパレルの80%を日本で企画し、20%は本国のアメリカから買い付ける。これまでと大きく異なる点であり、同社が目指すのが、かつての大量生産・大量販売・大量廃棄からの脱却。六つの商品カテゴリーのうち、旬のトレンドを日常に落とし込む「ベーシック」がその例だ。買いやすい価格ながら、縫製や素材で品質を担保した定番商品が充実。年間を通して販売する5型のジーンズは、日本製の生地を使いつつ、税込み4400円に統一した。1000円台のタンクトップは、環境配慮の観点からサステイナブル(持続可能な)コットンを使用した。「アダストリア基準で、安価でも長く着られる品質で作った」。
ほか、日本で独自に書き起こした花柄のプリントドレスや、アジアのカルチャーを取り込んだ新しいフェミニンスタイルなどを見せていく。売り場はカテゴリーごとに分け、スタイリング提案も強化していく考えだ。
商品を適量で販売するうえでは、ドットエスティのデータが強みになる。「各企画で日本の女性にどう訴えかけられるか。実需を見極めながら欲しいものを適切なタイミングでしっかり売っていく」(野田源太郎R&D本部クリエイターズルーム部長兼クリエイティブディレクター)。ファッションの高揚感やトレンドに影響を与えるカルチャーを、いかに体現していくかも要になる。