田舎のショップと町のショップ(阿賀岡恵)

2015/01/19 00:00 更新


子供の頃に読んだイソップ童話に「田舎のねずみと町のねずみ」というお話がありました。

どんな話だったかぼんやりとしか思い出せませんが、田舎も都会もどちらも一長一短、自分は将来どちらに住むのか、みたいな事を読んだ後に考えたような記憶があります。そんなことを思い出したのは、新年明けて早々、福岡に行ってきたからであります。なんと3年ぶりのお店まわりでした。

福岡を訪れたことがある人は皆さん言いますよね、「福岡は住む街としてすごくいい」って。私もそう思います。

私、知らない土地に行くと必ず、もし自分がここに住んだとしたら、という視点で見てみるのですが、福岡はかなりの好感触。何しろ食べ物が美味しい、というのがまず第一にありますし、空港から中心部へのアクセスが良いというのも理由の一つです。地下鉄で20分、タクシーでも2000円ぐらいです。そして、街に活気がありますし、人々もお買い物してますね。

ちょっと前にどこかのファッションニュースサイトの、東京にセレクトショップはない、という記事を読み、そうかなあと思ったりそうでも無かったりしたのですが、地方のセレクトショップが元気だ、というのは一理あると思いました。

というのは、これを見てください。私、東京都渋谷区で似たような間取りのとこに住んでいますが、福岡では中心部でも家賃が東京の半額。これは一般住居物件ですが、店舗物件も半額ぐらいでした。

 

 

 

お店の運営を考えた時、「固定費に追われない」という環境は、ダイレクトに仕入れの内容に関係してきます。

単純に、家賃がかからない分、その予算を冒険や挑戦の仕入れに回すことができます。バイヤーやスタッフは攻めのバイイングをする事で活気づき、お店も個性的に色づくのだなと思いました。

固定費が抑えられるのは、単純に羨ましいです。お店もスペーシャス、家具にもお金をかけることができます。お店作りの最初の段階で、東京で同じことをしたとしたら、三年かかっても回収する事ができなさそう…

 

 
こちらはAYAME SOCKS取扱店のTRENTさん(福岡・高宮)

 

東京には東京の利点があると思います。まず、人口が多いというのが、お店をやるにあたって圧倒的なアドバンテージになりますよね。後は、色んな人がいます。そして、その道のトップランナー達が集まっているのも東京ですよね。

しかし、東京の人口密集度は、世界中の都市のそれと比較しても異常です。渋谷、新宿あたりはいつだって歩きにくいし、ちょっと食事に行くだけでも予約が必要だったりします。

私は東京に愛着があり、世界中でどこの都市が一番好きかと聞かれたら、迷わず自分のホームである東京と答えるのですが、この人口密集度だけは何とかして欲しいと常々思っております。

 

 

 

地方に移住するのもいいかも、何て思ったりして。美味しいものがいっぱいの福岡。

田舎のねずみと町のねずみになぞらえて、地方のショップと東京のショップの事を考えてみましたが、やっぱりどちらも一長一短、自分が好きでそこに居るなら、そこの利点を生かして楽しくやっていくだけです。

今や時は2015年、情報収集・発信のあり方も大きく変わって来ているので、インターネットの活用次第で、どこにいようが大差は無くなってきているようにも思えます。

ということで、福岡出張レポートから2015年スタートです。本年もどうぞよろしくお願いします!

AYAME SOCKSオフィシャルInstagram、毎日更新中!只今ニューヨークに来ております。


気鋭の靴下ブランドAyame’の活動記録。現在年2回、東京、パリ、ニューヨーク、ロンドンにてコレクションを発表、Made in Japanの靴下を世界に発信中 あがおか・あや/Ayame’socksデザイナー/桑沢デザイン研究所卒/2007年Ayame’設立



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