フランス人と交渉する(阿賀岡恵)

2014/02/25 16:45 更新


そうこうしているうちに二月も終盤、パリファッションウィークも目前です。NYCメンズに続き、今度はレディースの海外セールスです。

長く続いた円高期を経て、ようやく主要外貨が円に対して戻ってきました。ということは、海外ビジネスの場で(今までよりも)妥当な値段で商品を出せるという事ですね。ああ、ホントに長かった。海外進出してからずーっと、高い高いと言われ続けホントにやりにくかった海外の商売、ここからが本番です。ま、でも滞在費は上がる事になってしまうので、ホテルはグレードダウン&帰りは経由便にしましたよん。

今週から始まるパリコレ、今回AYAMEプルミエール・クラス(以下プルミエ)という展示会に出展します。このWSN社がオーガナイズするプルミエ、集客力もあり、出展者も厳しいスクリーニングを突破してきたブランドばかり。出展の為のウェイティングリストもすごくて、とにかく人気の展示会です。まず3回は絶対に断られる、というのも出展者の中では有名な話です。そんな中、AYAME SOCKSは、どうにかこうにかスペースをもらえました。年明けギリギリに決まったのですが、スペースをもらう為に、けっこう長い時間かけて交渉しました。今回は、その模様をレポートします。

1789(火縄く)すぶるバスティーユ、東パリのバスティーユ広場には、この歴史の1ページ、フランス革命の記念塔が今も堂々と建っています。フランス革命といえば、自由・平等・友愛をスローガンに国民が立ち上がった市民革命、このダイナミックな人間讃歌は私も大ファンです。

フランス人はこうやって自分達の手で自由を勝ち取った歴史があるからなのか、個人個人がしっかりと主張して、自分で手に入れる事を美徳と考えているように感じます。とにかく何でもとことん話し合う、交渉する、主張する。日常の些細な事からビジネスの大事な場面まで、とにかく一事が万事こんな調子のフランス人。控えめな日本人の私(?)としては、素晴らしい美意識だなと羨ましく思う反面、めんどくさい人達だなあと思う事もしばしば。

今回AYAMEは二回目のトライで出展の許可をもらいました。前シーズン一回目のトライではバサッと断られたので、日本人らしく大人しく引き下がりました。今シーズン二回目は、同じ轍(テツ)は二度と踏まんぞと思っていたので、ワタクシ日本人とは思えない図々しさでゴリゴリ交渉しました。

交渉に交渉を重ね、その間やり取りしたメールの回数は10往復ぐらい。フランス人になった気分で「Yes, but…」って屁理屈をこね、返信が来なければ「メール見ていただけましたぁー?」って催促して…、そんな事を繰り返し、最終的にプルミエのオーガナイザーさん、ついに根負けして折れてくれました。ついに寄り切った!でも、「I will give you a chance」って、あくまでもスノッブで上からな感じでしたけどもね(笑)。いえいえ、無理を言って場所あけてもらったのだから感謝です。

前シーズンはこの交渉劇、最後の最後で負けてしまい、結果、パリ展示会をスキップする事になってしまったんです。それでとっても後悔したので、今回は必死でした。自分でもビックリするぐらいのゴリ押し。でもねー、郷に入れば郷ひろみに従えって言うじゃないですか。だからフランス人にはフランスのやり方で。イギリス人にはイギリスのやり方、日本では日本の流儀、ホントにそう思います。ここで日本人らしく遠慮してたら進むものも進まない。

なので、外国の方とのやり取りが何だかしっくり来ないと思っている人は、その国の映画でも観て気分を盛り上げて、その国の人になり切ってみることをオススメします。そしたら彼らとの距離がグッと近くなるかもしれません。いうても言葉は単なるツールであって、文化を理解しようすれば、自ずと気持ちは伝わると思います。イギリスのシニカルなコメディーなんかはイギリス人攻略法の宝庫ですよ!

さーて、いよいよパリです。しまってこー!パリ展示会で会えるステキなデザイナーさん達の紹介なんかもここでできたらなと思っています。次回のレポート+、お楽しみに!




気鋭の靴下ブランドAyame’の活動記録。現在年2回、東京、パリ、ニューヨーク、ロンドンにてコレクションを発表、Made in Japanの靴下を世界に発信中 あがおか・あや/Ayame’socksデザイナー/桑沢デザイン研究所卒/2007年Ayame’設立



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