23年春夏ミラノ・メンズコレクション ブランドの伝統を背景に

2022/06/23 06:28 更新


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 【ミラノ=小笠原拓郎】23年春夏ミラノ・メンズコレクションは、ブランドの伝統を生かしたコレクションが相次いだ。レザーやファーの技術を生かしたスタイル、ポエティックで旅への思いを誘うようなスタイル、テーラーリングへの探求を背景にしたミニマルなスタイルなどが登場している。

 プラダから送られてきた招待状には、正方形にきれいに畳まれた紙のジャケットが入っている。ショー会場に着くと、会場の壁の仕切りは紙がつるされ、床もボール紙を張り合わせたようなものでできている。そこに登場するのはミニマルといってもよさそうなシャープなスーツスタイル。シャープな黒のスーツにタイドアップ、足元は反り返ったトウのブーツで固める。ミニマルなブラックスーツとともにアイコンとなるのは、フロントにダブルジップを付けたブラックショートパンツ。それもかなり短めの丈だ。

プラダ

 ブラックを軸にしたミニマルなラインにアクセントを付けるのがギンガムチェック。ブルーやピンクのギンガムチェックのコートを無地のコートに重ねていく。ショートパンツにもボーダーストライプやカラーブロックのタイトなセーターをコーディネート。体に沿ったタイトな着丈の中に色のコントラストを利かせていく。ミニマルでタイトなアイテムのコーディネートはどこかソリッドなムード。しかし、いつもロジカルに思考してクリエイションを作るプラダだが、それ以上の何かを感じることはできなかった。

プラダ
プラダ

 テーマは「プラダ・チョイシズ」。ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズによって、キュレートされたプロセスを表現したという。「ファッションとは文脈から連想されるものであり、さまざまな要素や衣服の組み合わせ、印象の形成、スタイルの創造を通じて呼び起こされるもの。ファッションとは選択の表現」だという。コレクションのツールを、スーツ、コート、セーター、シャツ、デニム、レザーと、直接的でわかりやすく、典型的なアイテムにすることで、見慣れた衣服は文脈によって生まれ変わるというのだが、その意図は観客に伝わったのであろうか。

 確かにファッションとは、その時代における美しさや新しい価値を服を通じてロジカルに表現するものだ。服は論理立てて作るものという考え方には全面的に賛同する。しかし、デザイナーが意図するロジックが、観客に伝わるだけのストーリーになりえたかどうか。もちろん観客側の見る力量が足りない場合もあるわけだが、今回のコレクションに関してはそこに疑問も残る。

 ミラノ・メンズコレクションに初めてフィジカルで参加したJWアンダーソンは、コンセプチュアルでユーモアたっぷりのコレクションをみせた。自転車のハンドルをネックレスにしてセーターを巻き付け、合わせるジーンズは2枚を重ねばきしたようなウエストのディテールになっている。ジャージートップは缶のふた、あるいは割れたCDがドット柄を作る。セーターのフロントには折れたスケートボードが突き刺さる。

JWアンダーソン
JWアンダーソン

 QRコードがニットに編み込まれ、バーコードは破れた布の隙間からのぞく。ほかにも蝶番(ちょうつがい)がジャージードレスの一部になり、グローブがセーターに張り付けられる。ウィメンズのジャージードレスは、裾に破れかけのデニムスカートをくっつけてアブストラクトな力強さを見せた。それはウェアラブルなアイテムに壊れてしまったものを合体させるストーリー。

 フェンディは大きめのシルエットのリラックスしたムードとワークウェアのディテールを取り入れた。休暇先へ向かう夏の装いが春夏のアプローチ。大地や海、空にインスパイアされた自然な色使いが特徴だ。ソフトフリンジやタッセル、テリー織りのタオル地といった素材使いも目立つ。コットンジャケットにカーゴポケットのワイドパンツ、デニムジャケットのセットアップやレザージャケットにデニムパンツと日常性を感じさせるアイテムが充実する。ヘアカーフのアニマル柄のジャケットやバッグなどで牧歌的なムードを作る。ファーコートやファーのシャツには、象眼細工で山を思わせる模様をのせる。フェンディらしい手仕事の技術を生かしながらも、リラックス感や日常性を強調した。

フェンディ

 エトロは青空の下の開放的な空間でショーを行った。ショーに先立ち、各人に電話を通じてポエムが送られたように、コレクションは詩を背景にしたロマンティックなスタイルとなった。風をはらんで揺れるロングシャツ、クラフトタッチのカーディガン、リネンの白いスーツが夏のエレガンスを彩る。レースのトップにカフタンのようなボリュームのトップ、どこかプリミティブな旅のイメージを感じさせるスタイルが揃う。モデルたちは足にいくつもの指輪を重ね、素足やサンダルで軽やかに歩く。手にはラフィアを編んだような大きなバッグ。

エトロ
エトロ

(写真はブランド提供)


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