23~24年秋冬ミラノ、パリ・コレクション見どころ 復活と新しい息吹

2023/02/20 06:30 更新


 23~24年秋冬のミラノ、パリ・ファッションウィークは、コロナ禍の不安が遠のき、ほぼ以前のようにフィジカルでの発表が戻ってくる。開幕直前、それぞれの見どころを現地通信員が解説する。

【ミラノ】若手のショーをサポート

 2月21~27日に開催される23~24年秋冬ミラノ・ファッションウィーク・ウィメンズコレクションでは、計165のショー、展示会、イベントがある。ショーの数は59で、そのうちデジタルが5ブランドあるものの、ほぼコロナ禍前の水準に戻った。

 注目ブランドは「ドルチェ&ガッバーナ」のサポートプロジェクト対象ブランドに選ばれ、ミラノで初のショーを行う「トモコイズミ」。21年春夏にミラノで「エミリオ・プッチ」のカプセルコレクションを発表して話題となったことも記憶に新しく、現地でも期待が高まる。

 ウィークを主催する伊ファッション評議会は「若手支援」を打ち出しており、今回デジタルショーでデビューする伊のサステイナブルブランド「アヴァヴァヴ」のほか、「アラバマ・ミューズ」や同評議会の支援プロジェクト対象の伊ブランド「アクト・ナンバーワン」「コルミオ」「ヴィテッリ」への注目を促している。

 また、今年創業360周年を迎えるビエラの毛織物メーカー「ヴィターレ・バルベリス・カノニコ」による若手デザイナーとの協業プロジェクト「ヘリテージ&ニュータレント」によるコレクションの発表イベントも行われ、イタリア全体で若手を支援していこうという動きが顕著となっている。

22年3月に東京で発表した「トモコイズミ」

(高橋恵通信員)

【パリ】カムバックと初参加に注目

 2月27日に開幕するパリ・ファッションウィーク。「もうこの時期か、早いな」とのささやきが聞こえてくるのは、コロナ禍での「どうなるの」といった不安が遠のいたからだろう。ウクライナ侵略からちょうど1年と重なる今回のウィークは、地政学と高インフレへの暗さを引きずりつつ、一方で中国の渡航解禁でお祭りムードが回帰。社会の現状を反映した開催となるだろう。

 公式カレンダーの106メゾンのうち、67メゾンがショーを開く。1月のメンズウィークに続きウィメンズでもショーによるカムバック組が「アレキサンダー・マックイーン」、ハリス・リードによる初の「ニナ・リッチ」、「ピエール・カルダン」「Yプロジェクト」と華やかだ。そして創設者が死去した「パコ・ラバンヌ」もジュリアン・ドッセーナによるコレクションをショーで披露する。

 初参加は8メゾン。初とはいえ、オートクチュールメゾンの「スキャパレリ」はプレタポルテ(既製服)ならぬプレタクチュールのコレクションを見せる。「マーガレット・ハウエル」はプレゼンテーションで初参加。なかでも最も注目を集めているのは「パーム・エンジェルス」で、「モンクレール」のアートディレクターを兼任するフランチェスコ・ラガッツィによるラグジュアリースケーターファッションは、パリ・コレクションになかった空気を吹き込むだろう。

 そして、初とは思えないのが「デュンダス」。なぜならメゾンの創設者は「ウンガロ」「エミリオ・プッチ」「ロベルト・カヴァリ」のクリエイティブディレクターを歴任したピーター・デュンダスだから。米国系セレブリティーから愛されているこの北欧デザイナーのドレスへの探究心が、自身のショーで試される。

 常連では「アン・ドゥムルメステール」がルドヴィック・サン・セルナンの初コレクションを披露する。

「スキャパレリ」が22年9月に行ったプレゼンテーション

(松井孝予通信員)



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