21年春夏パリ・コレクション アイデアでデジタルを面白く

2020/10/13 11:00 更新


 デジタル配信は服の質感が見えないという欠点はあるものの、編集次第でストーリーやイメージを多くの人に伝えることができるという利点もある。ポイントはブランドらしいアイデア。中堅・若手デザイナーが面白い切り口の動画を発表している。

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 テベ・マググは、60年代のレトロなスパイ映画さながらのストーリー。防犯カメラの粗い動画に、ホテルの廊下やエレベーターを行き来する女性捜査官の姿を映し出される。裾のドレープが優雅に揺れるセミフレアドレスはエレガントだが、身頃にはタフなハーネス。インテリジェンスな雰囲気の、クールな女性像を描いていく。ニットのフレアドレスにはアームウォーマーやネックウォーマーを重ね、テーラードジャケットの裾はバイアスの布がラッフルを描く。きっちりとした仕立てが全体を引き締めている。セクシーでしゃれた動画で引き付けて、7分間を飽きさせない。LVMHヤングファッションデザイナープライズを獲得した注目株の、新たな一面を見せている。

テベ・マググ

 パトゥは、50年代のサロンショーをほうふつさせる。客の入っていないサロンでリハーサルをするモデルたち。本番とは違う解放的なムードが漂うなか、大きなパフスリーブのクラシカルなドレスできりりと歩いていく。テントドレスには、胸元まで覆う大きな白襟とボリュームたっぷりのビショップスリーブ。首や胸にも立体的なラッフルがたっぷり飾られている。黒と白に、上品なピンクがキーカラー。ギヨーム・アンリらしいピュアな少女性とスイートな感じをエッセンスに、シックなスタイルに仕上げている。

パトゥ

 アルトゥザッラは、軽やかなドレスをヘルシーなスタイルに落とし込む。風をはらむカシュクールドレスやアメリカンスリーブのギャザードレスをドレッシーに着こなすのではなく、エスパドリーユの厚底サンダルで闊歩(かっぽ)する感じが心地良い。ニットのストレートドレスや、ギャザーをたっぷりと寄せたジャージードレスなど、日常を過ごしやすそうなアイテムも多い。ペプラムやパフスリーブなど部分的な膨らみがエレガンスをプラスする。ベージュやカーキにきれいなオレンジやイエロー。アルトゥザッラらしい上品さを保ちながら、日常を重視したスタイルにうまくシフトしている。

アルトゥザッラ

(青木規子、写真はブランド提供)



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