21~22年秋冬ニューヨーク・コレクションは、早くおしゃれして出かけたいという切実な気分が広がっている。一方で、柄や素材はクラシックなものが目立つ。
【関連記事】21~22年秋冬NYコレクション 性差がより不透明になるメンズ
アリス・アンド・オリビアが配信した動画はメトロポリタン美術館前の5番街から始まり、やがてゴージャスなタウンハウスに移る。ホームパーティーのセッティングの中で、モデルたちは気ままに動き回る。かつての大人気ドラマ「ゴシップガール」にヒントを得て、今は新型コロナで味わえないニューヨークのグラマラスな世界への郷愁をこめた。千鳥格子でクロップト丈のキャミソールをつくって、デニムのクロップトパンツに合わせる。赤白黒のタータンチェックは、長いスリットから脚がのぞくスリップドレスに仕立てた。ケーブル編みのミニドレスもあり、活動的でスポーティーなスタイルが目立つ。
アナ・スイは自室で「もうすぐやってくる活気に満ちた世界」に思いを巡らせるうち、壁の穴から隣の住人をのぞき見する1968年の映画「ワンダーウォール」を思い出したという。動画に出てくるドアと宇宙のイラストは、ドアの向こうのファンタジックな世界を意味する。最初に登場するカウハイドのフェイクファーのコート、メタリックなニットにのせたボーダーストライプやジグザグ柄のセットアップはいずれも白黒だ。少しずつ色が入っていって明るいマゼンタとグリーンにつながるカラーストーリーに、早く明るい気持ちで外に出たいという願望がにじむ。
クラウディア・リは、持ち前のドラマチックなボリューム感を入れたドレスやロングスカートと、カジュアルな日常着を見せた。どちらも今必要な服かもしれない。お姫様のようなファンタジックなドレスは、高校の卒業ダンスパーティーのプロムに着想した。シンプルなショーツは同素材のプルオーバーと合わせ、白いステッチをきかせたトラックパンツにはビーズを飾ったブラトップを合わせる。コーデュロイのコートにもビーズを飾って、楽しさを加えた。
ロサンゼルスベースのスタウドは、安心のより所である家に焦点を当てた。シアリングのような質感のニット、アーガイルチェックをのせたモヘアなど、心地よい素材が揃う。壁紙風の花柄、チェスやゲームに着想した柄もある。ビーガンレザーはキャメルやハンターグリーン、ラベンダー、黒に染めてさまざまなアイテムに使う。ビーガンレザーとポンチをはぎ合わせたベアショルダーのセクシーなドレスには、ドレスアップして出かけられるようになったらこれを着たいという思いを込めた。
(ニューヨーク=杉本佳子通信員)