【パリ=小笠原拓郎】20年春夏パリ・メンズコレクションは、春夏らしい鮮やかな色と多くの柄が広がった。ベージュからブラウンのナチュラルカラーがベースカラーとなり、ピンクや赤、オレンジの暖色系とピスタチオグリーンやブルーがアクセントとなっている。柄に柄を合わせるコーディネートも多い。花柄はもちろんだが、レパードをはじめとするアニマル柄や抽象柄を掛け合わせていく。
(写真=大原広和)
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ヴェットモンから届いた招待状は小さなコンドームのパッケージ。その住所を探していくとシャンゼリゼ通りのマクドナルドにたどり着く。新しい空間を求めてパリの外にまで会場を移すデザイナーがいる一方で、デムナ・ヴァザリアが選んだのはパリを代表するミーハーな観光地シャンゼリゼの、しかもマクドナルドだ。そのキッチュでウィットに富んだ発想に驚きながら、マクドナルドの2階へと上がっていく。ヴェットモンが大ブレークした16年春夏のショーも、中華街にある2階建ての中華料理屋だったことを思い出しながら。
ショーはデムナ得意の迫力のショルダーラインのユニフォームから始まった。警官のユニフォームのようなアイテム、バイカーパンツ、デニムのジャンプスーツなどのベーシックにウィットを利かせてボリュームをのせる。テーブルクロスのようなエナメルコーティングのドレスやプリーツをアシンメトリーに入れたサテンドレスなど、16年春夏にも見たようなアイテムが続く。モデルの中にはホラー映画から抜け出してきたようなゴスメイクも。スポーツコートやスポーツブルゾンなど、アウトドアを背景にしたアイテムも登場した。
どこか16年春夏のデジャブを感じるシーズン。もちろんボリューム感は当時と少し異なるのだが、アイテムや素材の使い方に共通点を感じる。これをどう捉えたらよいのだろうか。結局、ヴェットモンの描きたい原点はこのスタイルということなのだろうか。既視感を感じてはいるのだが、マンネリには感じない。むしろオリジナルの世界に戻ってきたようなイメージ。
ドリス・ヴァン・ノッテンのショー会場に着くと、ものすごく長いランウェーがフクシャピンクのライトで照らされている。春夏のドリス・ヴァン・ノッテンは鮮やかな色と柄を組み合わせた。色はビビッドからナチュラル、赤やオレンジ、フクシャピンク、柄はレパードにタイガー、大きな花、フューチャーリスティックな抽象柄。シャツにパンツ、テーラードジャケット、コートにGジャン、様々なアイテムに色と柄をちりばめて、ドリスならではのミックスセンスで見せた。
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