20年春夏パリ・コレクション フレンチシックが復活

2019/10/04 06:29 更新


 【パリ=小笠原拓郎、青木規子】20年春夏パリ・コレクションは、ここ数シーズンに比べてぐっとシンプルな方向にトレンドが振れた。同時に、パリの伝統を背景にしたコンサバティブなブルジョアスタイルが復活している。70年代を背景にしたフレンチシックを意識したコレクションが目立つ。

(写真=大原広和)

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 ルイ・ヴィトンは、ルーブル美術館の中庭に作ったガラスと木を軸にした建物でショーをした。ぜいたくに木材を使った広い空間だが、ショーの後にこの木材はリサイクルあるいはアップサイクルされるという。サステイナブル(持続可能)への意識を強調した広い空間に、アーティストのSOPHIEが歌う映像が映し出される。その映像の一角からモデルが登場してくるという趣向。

ルイ・ヴィトン

 ベルエポックやアールヌーボーをキーワードにしたコレクションは、フレンチエレガンスの伝統を背景にした。曲線的なディテールで描くラグジュアリーなムードを、マニッシュな要素を取り入れて引き締める。カフスにぎゅっとギャザーを入れたボリュームたっぷりの袖がポイント。ドレスやブラウスのドレープたっぷりのスリーブがクラシカルでフェミニンなラインを描く。そこに、スパンコールのジレやニットベストを重ねてアクセントにする。

 70年代イメージのレトロなパンツスタイルやビンテージ風の柄もポイント。ニコラ・ジェスキエールが得意とする未来的な要素を封印して、レトロなラグジュアリースタイルを描いた。

ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトン

 アレキサンダー・マックイーンの会場も、木材のステージと木の柱でできている。木の柱の上には帆布のような布が揺れ、波の音が聞こえてくる。コレクションは白と黒を軸に、マックイーンらしいテーラーリングの技術とイノセントなレースで描く。レッグ・オブ・マトンスリーブの量感を生かした白いドレスで始まったショーは黒いレザーのパンツスーツや、ブラックレザーを白いレースと切り替えたドレスへと続く。

 テーラードジャケットはインパネスやトレンチコートのように身頃の途中で布がヨークのように重なるディテール。ウエスト部分を鋭角に三角形にカットアウトしてベアバックにしたパンツスーツもある。ドレスは白いレースのハンカチーフヘムやアイレットとレースアップのディテールを取り入れる。テーラーリングをベースにしながらも、いつもよりエキセントリックな要素は控えめ。時に、リー・アレキサンダー・マックイーンの時代を思い出させるグロテスクな美しさを見せることもあったが、この春夏は静かな美しさに収めた。

アレキサンダー・マックイーン

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