【パリ=小笠原拓郎】20年春夏パリ・コレクションは初日、若手デザイナーのエネルギーにあふれたショーが相次いだ。産地や工場を背景にしたミラノ・コレクションとは異なり、パリはインディペンデントなデザイナーがデビューしやすい環境にある。日本の「マメクロゴウチ」がショーを開き、LVMHヤングファッションデザイナープライズで話題となった「ロック」も新作を見せた。
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「ロック」のミニマルな中にエッジを立たせたスタイルがさえている。トレンチコートのフロントは布を巻き付けて縛り、ビュスティエトップにはハイウエストのエナメルパンツを組み合わせる。レザーを切り替えたグラフィックコートやリブ編みのカラーブロックコートなど、配色の切り替えもポイント。
アウトドアスポーツのディテールをアーバンスタイルの中にミックスするのも今シーズンの特徴だ。リュックサックのショルダーパーツをハーネスのように服に重ねたり、登山ロープやカラビナをアクセサリーに使う。チュールのフレアスカートは、スケートボードとコントラストを描くストリートミックスのイメージ。

マメクロゴウチの軸となるのは、繊細なレースと花の装飾、透け感のレイヤード。シアードドレスのボディーから透けるように浮かび上がるのは一輪の花。レースとサテンを切り替えたシャツにも繊細な花刺繍が取り入れられている。ジャケットやスカートにフィッシュネットの透け感を重ね、花刺繍のトップにもフィッシュネットの透け感で変化を作る。花の装飾もどこかジャポニズムを思わせる。
このラインが海外の市場にどう響いたであろうか。過去のコレクションと比べると、ヨーロッパの市場でも通用する立体感のようなものを感じるのだが、テイストはアジアンエスニックなムードが立っている。そこをどう評価されるかであろう。

(写真=大原広和)