【パリ=小笠原拓郎】20年春夏パリ・メンズコレクションは初日、若手デザイナーを中心としたショーが相次いだ。コングロマリットが有するラグジュアリーブランドを中心に、インフルエンサーやSNSを使ったビジネスが強まる中で、若手デザイナーの持つ自由なエネルギーにあふれたコレクションに期待は集まっている。
果たして、その自由なエネルギーは閉塞(へいそく)化するプレタポルテ・コレクションに新しい何かをもたらすことができるのだろうか。
(写真=大原広和)
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初日はLVMHヤング・ファッション・デザイナー・プライズのファイナリストのショーが相次いだ。ニューヨークをベースにするボーディは、ビンテージ生地を使ったカスタマイズドのデザインが特徴となる。
シノワズリを思わせる刺繍のパンツ、リネンタッチのチェックのセットアップ、ジャカードストライプやレースのトップ。アンティークの匂いがいっぱいのコレクションが揃う。
バレエシューズには小さなおもちゃのオブジェが飾られ、頭にはスエードのヘッドピースをストールのように巻く。クロシェニットのテーブルクロスのような布をつないだベストやさまざまな国旗をパッチワークしたパンツもある。その作風はかつてのスーザン・チャンチオロのように独特だが、これをどうやってビジネスにのせていくのかが気になるところ。
ヘッド・メイナーもLVMHプライズのファイナリストの一人。リネンやコットンのナチュラルな風合いのボリュームスタイルを揃えた。ウエスト付近ですっぱりと裾を切ってしまったかのような短い着丈のボックスジャケット、リネンのポンチョ、絞りのセットアップ、ドロップショルダーのビッグジャケット。量感を生かしたナチュラルカラーのアイテムでまとめられる。
その量感とナチュラルタッチのバランスは決してコマーシャルではないが、描きたい何かのこだわりを感じることはできた。
フィップスもまた、LVMHプライズのファイナリスト。アウトドアに使うスポーツスタイルをベースに、生分解性のある天然染色の英国製ウールを使ったテーラードジャケットなどを出した。
地層や天体のプリントをのせたアウターやトップ、オイルドクロスのオーバートラウザーズにポンチョといったアイテムが揃う。
「ミレー」と協業したアウトドアアイテムやリュックに水晶のペンダントがアクセント。サステイナブル(持続可能)への意識の高さを背景に、軽やかなスポーツスタイルでまとめた。
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