アレキサンダー・マックイーンはパリからロンドンへと発表の場を移して、プレゼンテーション形式で新作を披露した。会場となったのは13世紀から続く歴史ある建物。
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そこで見せたのは、マックイーンらしい構築的でエレガントなテーラードスタイルだ。スーツには水彩画のように淡く大きな花柄をのせ、ジャカードで立体的な花を描く。涼しげなのは細かなカットワークレースで作った白いスーツ。ヘムに向けてアシンメトリーにドレープを流したジャケットや片身だけフロントを二重にしたジャケットなど、トラディショナルなテーラードに新しいアイデアを取り入れる。
コンセプトの背景にはジャポニスムがあり、スカジャンのような竜の刺繍を入れたブルゾン袖のコートも出している。この春に日本でも公開された映画で、創業デザイナーのリー・アレキサンダー・マックイーンの人生を振り返ることもできるが、彼が存命だった頃からテーラーリングのカットの冴(さ)えは群を抜いていた。
それを支えていたのは、サビルローのハンツマンだが、今回のサンプルもハンツマンが制作しているのであろうか。若手が多いロンドン・メンズの日程の中で、そのサンプルのクオリティーは図抜けている。ただ、リーが存命中から感じていたのは、そのサンプルとプロダクトのクオリティーの差である。今は、そのあたりの課題は解消されているのであろうか。