【ロンドン=小笠原拓郎】20年春夏ロンドン・メンズコレクションはこれまでよりもぐっとシンプルなラインにデザインがシフトしている。若手から実力派まで、大胆な柄を軸にしたコレクションはほとんどなく、テキスタイルにこだわりながら、シンプルなラインに収める傾向が増えている。
ロンドンらしい若手のパワフルなコレクションというよりも、もっと内省的なムードを感じさせるシーズンとなった。
(写真=ブランド提供)
【関連記事】20年春夏ロンドン・メンズコレクション さらに若手デザイナーが増加
クレイグ・グリーンは、シグネチャーともいえるボックスシルエットや組みひものアクセサリーはそのままに、鮮やかな色やカットワークで新しいページをめくった。
セットアップの身頃には放射状に糸を縫い留めた刺繍とほつれたようなステッチ糸が漂う。中には、ボディーから漂うひもの先にグローブのアクセサリーをふわふわと飾ったものもある。
気になるアイデアはタペストリーのようなスクエアの布を背景にしたもの。フロントにカットワークしたスクエア状の布をアップリケしたり、古いタペストリーから柄を起こしたようなプリントをのせたり。パステルカラーのセットアップは、軽やかなフルイドラインと、フロントにカットワークで描いた四角い柄。
ふわふわと体を漂いながらカットワーク刺繍で存在感を放つ。しわ感と光沢を生かしたセットアップは、サーモグラフィで人の体を撮影したようにプリントが浮かび上がって見える。
ボックスシルエットのセットアップというグリーンの変わらないアイテムにいささかマンネリを感じていたシーズンもあるのだが、春夏はその素材への探求や柄の描き方で次のステージを感じることができた。
【続きは繊研電子版で】