【パリ=小笠原拓郎】19年春夏パリ・メンズコレクションはミラノに続いてスポーツの流れはあるものの、あくまでもそれをベースにしながらブランドそれぞれの強さを感じさせるコレクションが相次いだ。
分かりやすいトレンドフォロワーとしてのスポーツではなく、時代の流れとしてのスポーツを土台にしてそれぞれの価値観をぶつけてくる。そこがパリの面白いところ。テーラーリングやクラシックと今の時代のメンズトレンドとの距離感をどう計り、そこに何を埋めていくのかを考えさせられた。
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ファセッタズム
ファセッタズムは軽やかなストリートのリアルと作り込みの両極のなかで、レイヤードとボリュームの足し引きで遊ぶ。そのクリエイションの立ち位置は、まさにニュージェネレーションの面目躍如と感じさせる。いつになくレディスが多いコレクションは、今シーズからメンズ&ウイメンズのショーという位置付け。もともとメンズがビジネスで先行していたため目立っていたが、このブランドのレディスはストリートとエレガンスとの間で独特のバランスを持っている。
オーガンディのエプロンドレス、フリンジ飾りのスエードケープからバックに流れるトレーンのディテール。クチュール的なエレガンスとストリートの軽やかな強さが共存していて、他のどの東京ブランドとも違う。もちろんメンズも、今回は軽やかな抜け感が支配する気持ちの良いコレクション。ジャケットやブルゾンのバックにあるジップで開閉できるディテールやアシンメトリーのトップが特徴だ。さまざまなアイテムをジップでデコンストラクトなフォルムに作り変えた。
アンダーカバー
アンダーカバーはパリ・メンズで初めてショー形式でメンズコレクションを披露した。「ニューウォーリアーズ」と題したショーは、チーマーのようにいくつかのグループがそれぞれのスタイルで着飾ってデモンストレーションをする設定。ベージュのアイテムに赤いヘアバンドをしたチームやモノクロのトータルに立たせた髪のチーム、アニメのトレーナーを着たメガネのおたくチームは手にケミカルカラーの金づちを持っていて実はちょっと危ない。キルトスカートにアーガイルソックスのスコットランド風チームやモトクロスバイカー風チームも登場した。
それぞれのスタイルがいかにも典型的なものではなく、高橋盾のフィルターを通してオリジナルの仮想チームに仕上がったのが楽しい。
(写真=catwalking.com)