19年春夏パリ・メンズコレクション ヴァレンティノ

2018/06/21 16:36 更新


 【パリ=小笠原拓郎】19年春夏パリ・メンズコレクションが始まった。

 ヴァレンティノはタイポグラフィーを柄のように表現して、グラフィカルなエレガンスを見せた。カムフラージュに重なるヴァレンティノのピンクのロゴ、セーターやコートにもヴァレンティノの文字がジグザグに躍る。カムフラージュに重なるロゴはバイアスチェックのような柄であり、ジグザグに編み込まれたニットの文字はヘリンボーンのような柄でもある。


 デニムジャケットやシャツに大きく描かれたVの文字は立体的に見せるため、ずれたように表現される。前シーズンのクオリティーの高さに、「ロゴのコラボレートラインなんて必要ない」と書いた本紙のレビューを逆なでするように、ロゴを使いながらグラフィカルに楽しく表現していく。

 もちろん、ヴァレンティノの持つハンドクラフトの技術は今シーズンも冴(さ)えている。MA-1のバックにチョウや羽根の刺繍がのせられ、カムフラージュのコートのバックにはサイが細かな刺繍で描かれる。パジャマスーツやカムフラージュのシリーズなど、アイテム自体はこれまでのメンズコレクションで出してきたアイコンのようなもの。それをもう一度整理しながら、時代に合わせてチューンナップしている。


 例えば、ブリティッシュチェックのスーツもタイドアップする着方ではなく、トラックパンツのようなサイドスリットを入れたパンツでストリートのニュアンスで着こなす。アノラックやマウンテンパーカといったアウトドアアイテムも、クリーンな色や刺繍などヴァレンティノのセンスでまとめられている。時代を変える画期的なスタイルを出したわけではないが、今の時代の旬のメンズスタイルの中で、ヴァレンティノの解釈が垣間見える。


(写真=catwalking.com)



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