チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイ 19SS

2018/06/13 06:29 更新


 【ロンドン=小笠原拓郎、若月美奈通信員】19年春夏ロンドン・メンズコレクションは、サステイナブル(持続可能)を意識したコレクションがプレゼンテーションを含めて増えている。環境に配慮したファッションビジネスのあり方を探る動きが広がっているのは、さすがに英国らしい。もちろんそれは産業のあり方における時代の流れでもあり重要な手段ではあるが、時代の気分をデザインするのがファッションデザイナーの本質的な仕事でもある。

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 その点で、レイブ・ムーブメントとその後を、フリーダムスピリットを込めて見せた「マーティン・ローズ」の持つ軽やかさに今の時代に必要な何かを感じた。

 一方で、アンドロジナスな世界を背景にしながら、どこか得体の知れないパワーを秘めた「チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイ」の才能は、まだ底が見えていない。

 チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイのショー会場前には、今回のロンドン・メンズで最大規模の行列ができた。レディスコレクションを取材するジャーナリスト、スタイリストも含め、他のデザイナーとは一線を画す取材陣が集まった。

 会場に入ると、銀色のクラゲのような浮遊物が漂っている。その銀色の物体と、チューブでつながれたヘッドピースをかぶった人が横たわっている。前シーズンのゴーストに続く不思議な世界。ショーが始まると、つながれた人たちは起き上がり踊りだす。

 今シーズンはボディーを意識したコレクション。女性が着るスポーツブルゾンはウエスト部分だけペプラム状にパッドで広がるディテール、メンズのトラックスーツはトップがジャストウエストの短い着丈になっている。グラフィティーデニムのセットアップと合わせるのは襟元だけチューブ状に膨らんだトップ。たくさんのチャームをチュチュのように重ねてドレスのヘムを膨らますだけでなく、パンツスーツのウエスト部分にもチャームを入れてウエストを膨らませる。



 ジャカードニットには「ラバーボーイ」の文字とともに骨や筋肉を編み込む。テーラードはドットや手描き風レパード柄のダブルブレストスーツやタータンチェックの切り替え。レディスのパンツスーツも、誇張されるように大きく張り出したペプラムとスクエアショルダーのコントラストが面白い。


 前シーズンのゴーストのコレクションほどトータルの迫力は強くないが、それでもジェフリーの持つ得体の知れない強さを十分に感じさせる。



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